旅客機の雄
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 23:48 UTC 版)
ボーイング707は高速を生かして長距離国際線用に使用され、一般人の海外旅行をより容易にすることに役立った。続いて1963年に中距離用のジェット旅客機ボーイング727を開発した。この機体は三重隙間フラップ等の強力な高揚力装置を装備して離着陸性能を改善し、中規模空港でも運用が出来るようにした。この結果、それまでバイカウント等のターボプロップ機が運航していた中距離路線にもジェット機が進出するようになった。さらに、ジェット旅客機のベストセラーシリーズとなる小型の短距離機、ボーイング737を開発して航空輸送のジェット化を著しく推し進めた。 ボーイングは1963年にCX-HLS次期主力輸送機計画を打ち出した米空軍と契約を結び大型輸送機の研究開発を結んだ。1965年にロッキード社との競争に敗北し、軍用機として採用されることはなかったが、このころ将来の国際線(長距離飛行)主力機としてのパンアメリカン航空(パンナム)の開発要請があったことから、民間機として転用されることとなった。後に「ジャンボジェット」と呼ばれ世界中で親しまれることとなるボーイング747(4発、350-550人乗り)である。一部二階建てになっているのは、1階全てを荷物空間とし、機首のハッチを上げることで戦車を機体前部から直接乗せ得るようにした空軍輸送機としての設計を引き継いだことによるものである。 当初エンジンの出力不足から設計時の速度性能が得られなかったため、747は徹底した軽量化を施されて就航した。後に、エンジンの換装に加えて機首を始めとする各部の補強を強いられることとなった。旅客機としては1969年に初飛行した747であったが、当時としてはあまりにも巨大な機体であったため、航空評論家らからは「空席だらけの機体」と酷評された。 しかし、パンナムが747を正式採用すると、日本航空や英国海外航空、ルフトハンザなどの大手国際線航空会社も経済性に注目して導入した。航空会社は空席を少しでも減らすため、思い切った料金値下げに踏み切り、一般人が気軽に飛行機に乗れる、バスのような飛行機、エアーバス時代が訪れた。短距離型・経済型・貨物専用型・大型化など次々に改修改良されたシリーズが開発された747は各航空会社の主要路線に投入され、21世紀に至るまで同社の有力機となった。
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