文学と哲学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/16 15:40 UTC 版)
詳細は「バロック文学」を参照 バロック文学は、広く見られるメタファーとアレゴリーの使用と、マラヴィリア("Maraviglia", 不思議、驚き――マニエリスムでのように)の探求の中でのトリックの使用としてまとめられる新しい価値を示した。マニエリスムがルネサンスに最初の穴を開けたのだとすれば、バロックはルネサンスに正反対の応答をした。人間の心理的な苦悩――確固とした拠り所を求めてニコラウス・コペルニクスとマルティン・ルターの起こした革命の後では放棄された主題、「人間の究極の力」の証し――が、バロック期の芸術や建築では再び見出される。ローマのカトリック教会が主要な「顧客」であったので、作品のテーマは宗教的なものとなった。 芸術家たちは細部に気を配るリアリズム(典型的な「複雑さ」とも言える)を伴うヴィルトゥオジテ(名人芸――ヴィルトゥオーゾはあらゆる芸術に共通のあり方となった)を追求した。 外形に与えられた特権が、バロック作品の多くに見られる内容の欠如を埋め合わせ釣り合わせるであろう。例えば、ジャンバッティスタ・マリーノのマラヴィリアは素朴な形式によって作り出されており、観客、読者、聞き手などに幻想と想像が引き起こされる。全ては個人としての人間に焦点が当てられており、作者もしくは作品そのものと、その受け手、顧客との直接的な関係となっている。芸術とその受け手の距離が縮まり、両者を隔てていた文化的な溝がマラヴィリアによって解消されている。個人への注目は、こうした図式によってロマンツォ(小説)などのような重要なジャンルを作りだし、それまでの通俗的もしくは局所的な芸術形式、特に教育文学を脇に押し退けた。イタリアでは、この個人へと向かう運動(「文化的な下降」であるとも言われ、バロックと古典主義との対立の原因であるともされる)はラテン語からイタリア語への決定的な移行をもたらした。 イギリス文学では、形而上詩人たちがこの運動に近い。その詩は一般的でないメタファーを、しばしば細心の注意を払って用いていた。パラドックスと、意図的に作り出された普通でない言い回しへの好みが現れていた。
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