救命ボート6号
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/01 04:01 UTC 版)
「プリンセンダム (客船)」の記事における「救命ボート6号」の解説
元々救命ボート6号は、他の救命艇から1.6km(1マイル)ほど離れて漂流しており、アメリカ合衆国空軍のHH-3Eは孤立したこの艇に集中していた。他の機体と異なり救助用のバスケットを持たないため、まず空挺レスキューダイバーのジョン・キャシディー軍曹(Jhon Cassidy)とホセ・リオス軍曹(Jose Rios)が降下。降下した2人の支援を前提に森林用の機材を海面に投下した後、救命ボートに引き揚げて使用していたが、この作業は水中での作業を担うダイバー(ジョン・キャシディー)の消耗が激しく20回ほどで限界に達した。さらに、HH-3Eがプリンセンダムからの救出を支援したため作業が中断したこと、波高が徐々に増し6m(20フィート)に達したこと、風速が13.8 - 15m(25 - 30ノット)に及び、雲が66m(220フィート)にまで下がり、視界が2.4km(1マイル半)にまで悪化したことなどにより救出作業は難航した。また、救命ボートの数を問われた船長が、テンダーボートを数に入れず6艘と回答したことも誤解の元となった。 故障したカナダ空軍機を誘導したのは空中給油機能を備えた空軍所属のHC-130であり、空軍のHH-3E自体も13時50分にはケーブルが絡まった機材を投棄したことで作業続行が不可能となり、その後燃料切れを起こしてソヒオ・イントレピッドに降りていた。HH-3Eは、そのままソヒオ・イントレピッドによりバルディーズに輸送された。燃料補給に向かう沿岸警備隊機が数人を救出したが、作業は15時の救出を最後に中断した。風はさらに勢いを増し、バウトウェルの舵が取られる程であり、16時57分には飛行が中止された。 一旦は救命ボート6号の存在が見落とされたまま、救助作業が完了したものと判断がなされた。バウトウェルはシトカへの帰路につき、次いでウィリアムズバーグがバルディーズへと航行を開始した。ウッドラッシュとメロンは、未だ到着していなかった。未帰還が判明した21時過ぎには既に日が没していたが、バウトウェルは直ちに捜索に戻り、コディアックのHC-130も再投入された。当時は、台風18号の影響で波高10.5m(35フィート)、風速22m(40ノット)に達する悪環境下であった。22時40分にはウッドラッシュが到着し、捜索に加わった。 一方、救命ボート6号では空軍のサバイバルキットを使用しての無線連絡を試みたが通じず、軍人2人はボートが破損したこともあって残された人々を防水シートで覆いながら救助を待った。ビーコンも使用したが、出力が不足しこれも捕捉されなかった。20時には電源が切れ、残るは発炎筒であったが視認される状況になるまで使用せず、機会を待ち続けた。 0時30分、救命ボート6号より灯りが見え、これを灯台の可能性は無いと判断して発炎筒が使用された。発光はウッドラッシュによって確認され、その3分後にはバウトウェルにも認識された。捜索は発光の方向に絞られ、1時15分にバウトウェルが救助を開始、2時30分までに全員が救助された。
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