政治媒体としてのインターネット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/05 18:29 UTC 版)
「E-デモクラシー」の記事における「政治媒体としてのインターネット」の解説
インターネットは、直接民主制における距離の制約のある部分を取り除くプラットフォームであり、伝達媒体であると捉えることができる。E-デモクラシーのための技術的媒体としては、携帯電話などのモバイルテクノロジーにまで拡張することができる。 インターネットには、これまでの伝達媒体と違い、これを政治媒体たらしめている重要な要素がある。ラジオやテレビが少対多、電話が少対少の伝達媒体だったのに対し、インターネットは多対多であるという事実である。さらに、インターネットははるかに大きな計算資源を持っているため暗号化やデータベースを取り扱うことができる。これらは、コミュニティの情報アクセスと共有、審議民主主義(deliberative democracy)、そして不正選挙の防止などにとって重要なことである。また、人々はインターネットを使うことにより非同期的に協調したり出会うことができる。このことによって、一つの仕事を協調して進めるために、同時に同じ場所に物理的に集まる必要がない。 インターネットを選挙活動のツールとして用いると、これまでのドア・トゥ・ドアの訪問活動や電話での選挙活動に比べてより安価で簡便に済ませることができる。候補者たちはまた、ソーシャルネットワーキングサイトを使ってより若い有権者に近づき、また、選挙活動の潜在的な支持者を作ることができる。Eメールの連鎖や政治ブログもまた、オンラインでの選挙活動に大きな影響力を持っている。様々な視点が、ブログやウェブページのコメントによって提供される。また、1クリック宣伝(オンラインのインタラクティブな選挙宣伝)が、これまでの手紙やテレビによる選挙活動に影響を与えている。 インターネットにおける低コストな情報交換とそのコンテンツが潜在的に持っている強力な伝播能力によって、インターネットは政治的情報を得るために魅力的なメディアになっており、それは低予算の利益団体にとって特に当てはまる。 例えば、環境や社会問題に関するグループが自分たちの知名度を上げようと思った場合、インターネットを使えば非常に容易だが、既存のやりかたー例えばテレビや新聞などーを用いると大量の財政投資が必要となってしまう。これらの要素すべてにより、インターネットは電話やテレビ、新聞やラジオなどといった伝統的な政治媒体を置き換える可能性がある。 もう一つの例はオーストラリアの非営利なE-デモクラシープロジェクトであるopenforum.com.auである。このグループでは政治家や上級官吏、大学人、企業人やその他の利害関係者を招いてハイレベルな政策論争を行っている。 ブロガーやウェブ管理者、その他のソーシャルメディアの管理者を助けるための新たなツールが数多く開発されている。これらはインターネットを厳密に情報通信媒体として使うやりかたから、社会組織をトップダウン式でない運営を行う手段として用いるものへと変化してきている。例えば、アクション・トリガーはウェブ管理者にリーダーシップがなくても、閲覧者を動員して行動を起こさせることができる新しいコンセプトである。
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