放射線障害とその防護
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 03:28 UTC 版)
人体が放射線にさらされることを被曝と言う。被曝は、放射線を身体に外部から浴びる外部被曝と、体内に放射性物質を取り込んだことによる被曝である内部被曝に分類される。 詳細は「被曝」を参照 放射線は生物にとって有害であり、浴びた放射線の線量に応じて何らかの障害、放射線障害が現れる。放射線障害は大まかに線量に応じて確率的影響 (stochastic effects) と確定的影響 (deterministic effects) に分類される。 詳細は「放射線障害」を参照 放射線障害の歴史は概ねレントゲンによる X線の発見(1895年(明治28年 ))から始まるが、放射線の防護については1940年(昭和15年)ごろの原爆開発から保健物理という名称で調査・研究されている。 詳細は「保健物理学」を参照 国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告では、「事故などによる一般公衆の被曝量は、年間 1 mSv(ミリシーベルト)を超えないように」とされた(1990年(平成2年)勧告による)。(なお、放射線を扱う作業者については諸事情を考慮して)、5年間で 100 mSv を超えてはならないとされた。2007年(平成19年)の勧告では、これに追加する形で、個人が直接利益を受ける状況では1から20 mSv 以下とし、事故発生時等の被曝低減対策が崩壊している状況下では20から 100 mSv 以下とした。 内部被曝防止は気密性の高い衣服、空気中の微粒子を取り除くフィルター、放射能汚染された水・食品の飲食を避けることによって防護される。 詳細は「放射線防護服」を参照 外部被曝は中性子線の場合水やパラフィンなど水素を含むもの(重水素はより有効)、ガンマ線やX線など高エネルギーの光子は鉛など原子番号の大きい元素で防ぐのが有効である。 原子番号の大きさが重要であり重ければいい訳ではない。100keVのX線の場合、鉛は鉄の14倍も質量減衰係数が高い。ただ1MeV以上の高エネルギーガンマ線では原子番号が大きくても大して遮蔽能力は変わらない。 背後二次放射線にも気をつけなければならない。反射した二次放射線が再度患者や同席する人間の身体を貫くこともある。背後二次線についてはむしろ鉄の方が抑制できる。 このため鉛を鉄でサンドイッチする、表面を塗装するなどの工夫をすると鉛単体で用いるより良い。 詳細は「質量減衰係数#X線とガンマ線」を参照 α線やβ線は放射線は紙やアルミ板など薄い、軽い物質でも容易に遮蔽できる。ただしガンマ線などの二次放射線が生じることもある事に注意。
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