攻撃までの推移
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/21 05:14 UTC 版)
「シェフィールド (駆逐艦)」の記事における「攻撃までの推移」の解説
5月4日、空母機動部隊はフォークランド諸島の南東40海里から50海里にあって、「シェフィールド」を含む3隻の42型駆逐艦は主隊の西18海里で防空任務にあたっていた。「グラスゴー」を主軸上として、「コヴェントリー」が右に、「シェフィールド」が左に占位していた。なお、当時の海上模様は平穏、天候は曇り、視程は約1.5kmであった。 1115Z時(0815L時)、アルゼンチン軍のP-2哨戒機が1隻の駆逐艦のレーダー波を逆探知し、「ハーミーズ」がフォークランド諸島の東方にいると考えられたことから、30分以内にエグゾセAM39空対艦ミサイルを1発ずつ搭載したシュペルエタンダール攻撃機2機がリオ・グランデ基地を発進した。1400Z時、この編隊は3隻の42型駆逐艦を発見した。 1356Z時、「グラスゴー」の電波探知装置は、シュペルエタンダールの機上レーダによる掃引3回を探知し、ただちに短波(HF)および超短波(UHF)通信によって僚艦に急報した。ただしこのとき、「シェフィールド」のHF装置には要員が配されておらず、一方UHF装置はメッセージ全てを受信することができなかった。また、当時英海軍が採用していたSCOT衛星通信装置は、電波探知装置による探知を阻害する危険があったことから、「グラスゴー」艦長はSCOTの日中の使用を禁止していた。これに対し、「シェフィールド」は「グラスゴー」による最初の探知の前からSCOTによる通信を行っており、このために電波探知装置からの警報を受けることができなかった。1358Z時、「グラスゴー」は目標を再探知して、敵味方不明機2つ、南西方向、25マイルと報告した。1400Z時直後、同艦では対空戦闘配置が下令され、チャフが発射された。このためにシュペルエタンダールは右に逸れて、「シェフィールド」を捕捉することになった。 当時、「シェフィールド」は哨戒第2配備の態勢であった。シュペルエタンダール(エグゾセ搭載可能)とミラージュIII(エグゾセ搭載不能、通常爆弾のみ)の機上レーダの信号パターンはよく似ており、実際、これまでに何回も取り違えによる誤警報があったことから、「シェフィールド」や「インヴィンシブル」の対空戦調整室では、今回もミラージュIIIであろうと判断していた。このためもあり、「シェフィールド」では対空戦担当幹部のみならず、その班8名のうち3名が部屋を出ていた。「グラスゴー」からの通報によって作戦室の警戒レベルは上がっていたが、対空戦担当幹部が部屋に戻ったとき、既に適切な行動をとる猶予は残されていなかった。SCOT衛星通信装置の送信中止処理には時間がかかり、まだ送信動作は続いていた。命中の15秒前、艦橋の当直士官が2つの煙を視認したが、最後までエグゾセAM39ミサイルの飛来は理解されず、ソフトキル・ハードキルのいずれも試みられることはなかった。 シュペルエタンダールは計2発のエグゾセAM39ミサイルを発射したが、うち1発は海面に突入した。残り1発のミサイルは順調に飛行を続け、1403Z時(1103L時)、「シェフィールド」に命中した。シュペルエタンダールは命中を確認して旋回し、無事帰投したとされているが、実際にはミサイルの命中は確認できず、戦果確認(BDA)はイギリス側報道によって行ったともされている。
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