摂動論の開発
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摂動論の基本的な道具立てはジョゼフ=ルイ・ラグランジュによって整備され、ピエール=シモン・ラプラス (1749-1827) によって発展した。接触軌道要素はレオンハルト・オイラーによって厳密に定義された。ラグランジュは月の秤動に関する研究を行い、1764年にフランス科学アカデミーの賞を獲得した。またラグランジュは1779年に摂動関数を導入した。 ピエール=シモン・ラプラスは1773年頃から天体力学の研究を始め、天体の運動および地球の形状・海の潮汐に取り組んだ。ラプラスは1776年に永年摂動の1次の範囲では惑星の軌道長半径は時間変化しないことを示した。また1787年に木星および金星の摂動によって地球軌道の離心率が変化することにより月の永年加速が説明できると主張した(なお半世紀以上が経った1854年にアダムズがラプラスの計算に誤りを発見し、この効果は観測を説明するのに必要な値の半分しかないことを指摘している)。1789年のフランス革命に伴う環境の激変もありながら、ラプラスは1796年に Exposition du système du monde を、1799年から1827年にかけて5巻からなる『天体力学論(英語版)』 (Traité de mécanique céleste) を出版した。この著作は以下の内容を取り扱っている。 第1巻: (Book 1) 平衡と運動に関する一般論、(Book 2) 重力と物体の運動。 第2巻: (Book 3) 天体の形状、(Book 4) 海洋と大気の運動、(Book 5) 天体の重心まわりの運動。 第3巻: (Book 6) 惑星の運動、(Book 7) 月の運動。 第4巻: (Book 8) 木星、土星、天王星の衛星、(Book 9) 彗星、(Book 10) 世界観について。 第5巻: (Book 11) 地球の自転と形状、(Book 12) 弾性流体の運動、(Book 13) 惑星を覆う流体運動、(Book 14) 歳差と秤動、(Book 15) 惑星と彗星の運動、(Book 16) 衛星の運動 ラグランジュは1814年に出版した Mécanique analytique の第2版の中で摂動関数およびラグランジュの惑星方程式といった天体力学の基本的な道具立てをまとめ、高次摂動の系統的な計算が可能であることを示した。
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