永年摂動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 16:03 UTC 版)
離心率 e {\displaystyle e} や軌道傾斜角 i {\displaystyle i} が小さいときの摂動関数 R {\displaystyle R} の展開は literal expansion として知られる。これは摂動関数を角度座標(平均近点離角 M {\displaystyle M} や近点黄経 λ {\displaystyle \lambda } など)の三角関数の和に分解するものであり、具体的な計算方法がラグランジュ、ラプラス、ルヴェリエ、ニューカムら多くの人の手によって研究されてきた。例えば中心天体のまわりを公転する2天体について考えるとき、その一方の摂動関数は R = ∑ C ( a , e , I , a ′ , e ′ , I ′ ) cos θ {\displaystyle R=\sum C(a,e,I,a',e',I')\cos \theta } θ = j 1 λ + j 2 ϖ + j 3 Ω + j 1 ′ λ ′ + j 2 ′ ϖ ′ + j 3 ′ Ω ′ {\displaystyle \theta =j_{1}\lambda +j_{2}\varpi +j_{3}\Omega +j_{1}'\lambda '+j_{2}'\varpi '+j_{3}'\Omega '} (プライムなしが注目天体の軌道要素、プライムありがもう一方の天体の軌道要素)という形に展開される。軌道要素の時間変化は、周期摂動とそれより長い時間スケールでの時間変化を引き起こす(英: secular perturbation) に分解できるが、太陽系天体では周期摂動より永年摂動の方が重要である。そのため摂動関数から周期摂動( j 1 {\displaystyle j_{1}} または j 1 ′ {\displaystyle j_{1}'} がゼロでない項)を落としたものをラグランジュの惑星方程式と用いることにより永年摂動の計算が可能となる。例えば近点黄経には時間に比例して増大する項(永年項, 英: secular term)が存在し近点移動が生じる。一方で、離心率と軌道傾斜角には永年項が存在せず非常に長い周期で時間変化する。
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