摂動の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 10:05 UTC 版)
基本的な天文学における1年を決める地球の公転はケプラーの法則に従う楕円軌道で定義され、歳差運動も一定ならば太陽年や恒星年に変化は生じないと思われる。しかし、ケプラーの法則は2つの天体についての運動をニュートン力学で解いたものであり、ここに第3の天体が加わると計算が非常に複雑となり、事実上近似値しか求められなくなる。このような他天体の影響による軌道の乱れは摂動と呼ばれる。サイモン・ニューカムはこれら摂動の影響を短い周期(短周期項)とゆっくりした周期(詳しくは長周期項と長年項)に分け、それらが断続的にケプラー運動の初期値に影響を与えると述べた。そして、この摂動によって地球の公転軌道は徐々に離心率が小さくなり恒星年が短くなると説明された。さらに摂動は自転軸の章動を起こし、公転速度に乱れを生じさせ恒星年に影響を与える。 また、公転軌道そのものも一定ではない。楕円の公転軌道も他惑星からの摂動によって回転しており、地球の近日点は1年で地球の公転方向側に角度約11秒ずつ(公転時間約4分)ずれてゆく。近日点通過後次に近日点の位置に地球がくるまでの時間を「近点年」(平均約365.25964日 )というが、この年は恒星年よりも約4分長い。
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