トランジットタイミング変化法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/07 14:53 UTC 版)
「太陽系外惑星の発見方法」の記事における「トランジットタイミング変化法」の解説
トランジット惑星が恒星面を通過するタイミングは通常は常に一定だが、複数の惑星が一つの恒星の周りを公転している場合、トランジット惑星のトランジットを起こすタイミングが別の惑星との重力相互作用によって変化することがある。この変化はトランジットタイミング変化(英語: Transit timing variations)略して TTV と呼ばれ、その変動で未知の惑星を検出する手法はトランジットタイミング変化法またはTTV法と呼ばれる。トランジットのタイミングの精密な測定は比較的容易なので、最低でも一つのトランジット惑星が公転していれば、トランジットを起こさない別の惑星が地球質量ほどしかない小さな惑星であってもTTVを用いて検出できるとされている。TTVの大きさには一般的に周期性があり、この変動パターンはそれぞれの惑星の質量や軌道によって異なる。惑星同士の軌道が比較的近い場合、および少なくとも1つの惑星が大きな質量を持っていれば、より質量が小さい惑星の公転周期を変動させる。このような場合はトランジットのタイミングの変化を検出しやすくなり、TTV法での検出が適してくる。この他にも、惑星同士が軌道共鳴の状態にある場合、軌道上のほぼ同じ地点で互いが接近しあうことによる摂動の影響がより大きくなることで顕著なTTVが発生することがある。TTV法は現在では、太陽系外衛星を発見する手法としても注目されるようになっており、実際にTTV法を用いた太陽系外衛星候補が報告されている。 TTVの主な短所は、ドップラー分光法やパルサータイミング法と同様に「間接的に」惑星を発見している手法のため、惑星の物理的特徴がほとんど求められない事である。ドップラー分光法とは対照的にTTVは惑星の上限質量を求める事が出来る。ほとんどの事例ではその惑星の質量を求められるが、誤差範囲に狭い制約を課す事は出来ない。ただし、惑星同士が非常に接近しているため、質量を詳細に求められるケプラー36系やケプラー88系などの例外もある。 TTVを使って発見された最初の惑星は、ケプラー宇宙望遠鏡によって発見された。2011年、トランジットを起こすことがすでに知られていた惑星ケプラー19bの公転周期が約5分ほど変動している事が判明した。こえにより、ケプラー19bの外側を160日未満の周期で公転している別の惑星ケプラー19cが存在している事が明らかになった。
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