拉致被害者「生きていない」発言
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 02:32 UTC 版)
「田原総一朗」の記事における「拉致被害者「生きていない」発言」の解説
2009年4月25日放送の「朝まで生テレビ」において、北朝鮮による日本人拉致問題の被害者の有本恵子、横田めぐみの安否をめぐり、「外務省も生きていないことは分かっている」と発言。5月11日、北朝鮮による拉致被害者の家族会と支援団体救う会から、テレビ番組で根拠のない発言をしたとして、テレビ朝日の君和田正夫社長と田原に抗議文書が送付された。田原はこれに対して、「家族のお気持ちは分かる。しかし、私は事実を言ったまでだ。情報源は言えないが情報を得ている」とし、両名が既に死亡しているとの見解を崩さなかった。 5月19日、外相・中曽根弘文は、一連の田原の発言に対して、「大変遺憾で非常に誤解を与える発言だ」「外務省は安否不明の拉致被害者はすべて生存しているとの立場、前提に立っている。田原氏の発言はまったくの誤りで残念に思う。一日も早い拉致被害者の帰国に努力している人たちに失礼な話だ」と発言した。同日、田原は「人の生死に関する問題を、具体的な情報源を示すことなく発言したことは深く反省している。横田さんたちが生きていることを心から望んでいる。言葉が足りず、大変申し訳ない」と謝罪した が、情報源については公表しなかった。 7月16日、有本の両親が田原を相手取り、精神的苦痛を受けたとして、1000万円の慰謝料を求める訴えを神戸地裁に起こした。これに対し田原は「表現は乱暴だったが、外務省高官への取材に基づく発言であり、今後、法廷で主張していく」とコメントした。 2010年3月10日、BPO(放送倫理・番組向上機構の放送人権委員会)はこの発言について、根拠を示すことなく断定した点は不適切な発言であるとし、同時にテレビ朝日が行った1ヶ月後の謝罪放送についても「謝罪の意思が的確に伝わるものではなかった」として放送倫理上の問題があったとした。 10月18日、神戸地裁は田原に対し、外務省幹部に取材した録音テープの提出を命令した。田原はこれを不服として、大阪高裁へ即時抗告を行った。翌2011年1月21日、大阪高裁は「テープの内容は書面などで代替が可能で、取材源秘匿の社会的価値を考慮してもなお提出が不可欠とはいえない」として地裁の決定を取り消し、有本の両親が最高裁への抗告を断念したため、確定した。 2011年11月4日、神戸地裁は慰謝料請求訴訟についての原告側主張を認め、田原の発言に合理的根拠があったとは認められないとして、田原に対し100万円の賠償支払いを命じた。田原は判決を不服として控訴する方針を表明した が、最終的には断念し、地裁判決が確定した。
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