座礁事故防止策と海賊対策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 22:40 UTC 版)
「マラッカ海峡」の記事における「座礁事故防止策と海賊対策」の解説
1960年代以降、中東-東アジア間の大型タンカーの航行量が増大した。しかし、当海域は航行支援設備が不足し、海図の整備も不十分だったため、しばしば座礁事故が発生した。そのため、沿岸各国と日本が協力して、1960年代後半より航行支援設備や海図の整備を行っており、この協力関係は現在も継続中である。また、座礁事故防止のため、マラッカ海峡では船底と海底のあいだを一定の距離に保つUKC方式 (Under Keeping Clearance) が採用されている。 2005年12月、日本とインドネシア、マレーシア、シンガポールの国際協力により、マラッカ海峡とシンガポール海峡の電子海図が完成した。2006年には、日本はインドネシアに対し政府開発援助の一環として円借款を行い、海難事故や海賊対策のため沿岸無線局を33局、船舶自動識別装置を備えた無線局を4局設置した。同年には無償資金協力として19億2100万円を供与し、巡視船3艇を供与してインドネシアの巡視船艇建造計画を支援した。なお、現在、日本財団が中心となり、利用者が安全確保のための費用負担を分担するための基金の設立を提案している。 海賊対策として、マレーシア・インドネシア・シンガポールなど沿岸諸国の海軍が警備を強化しているほか、日本からも海上保安庁の巡視船が海賊の哨戒に当たっている。また、技術や人材育成の面でも日本は東南アジア諸国に対し国際協力を行っている。2007年(平成19年)には、高速船を用いる海賊対策として、日本政府はインドネシアに対し、政府開発援助 (ODA) により巡視艇3隻を日本国内で新造し、無償供与した。操舵室等が防弾構造であり武器輸出三原則に抵触するおそれがあることから、運用を対テロ・対海賊に限定し、日本政府の同意なく第三国へ引き渡さない等の条件を付すことで武器輸出三原則の例外とした供与であった。 さらに、海賊など海上犯罪の要因として沿岸地域の深刻な貧困が考えられるとして、日本政府はかつてロンボク海峡付近でため池やダムなどの灌漑システムの構築やこれらの維持管理する農業技術者育成などを行って一定の成果をあげており、マラッカ海峡においてもその経験を踏まえ、地域の農村開発に資する支援をおこなっている。
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