常用漢字表に存在するが、用いられないことがある字種・音訓
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/26 01:01 UTC 版)
「常用漢字」の記事における「常用漢字表に存在するが、用いられないことがある字種・音訓」の解説
日本国憲法に用いられている漢字は全て当用漢字表に採られ、常用漢字表にも引き継がれている。一般的に用いられない漢字が常用漢字である一因はこのためである。 『公用文作成の要領』において「常用漢字表にあるものであっても,仮名で表記するもの」とされているもの 虞、 恐れ:「おそれ」 且:「かつ」 従って(接続詞):「したがって」、動詞「したがう」の活用として用いる場合は「従って」と表記。 但し:「ただし」 但書:「ただし書」 外、他:「ほか」 又:「また」(ただし,「または」は「又は」と表記する。) 因る:「よる」 常用漢字表にある字種だが、日本新聞協会新聞用語懇談会が使用しないことを決めた7字 虞(おそれ):『新聞用語集』「用字用語集」では「恐れ」の表記が示され、『NHK漢字表記辞典』では「おそれ」の表記が採られている。常用漢字表外の音に「グ」があり、熟語として虞美人、虞犯などがある。報道関係では「虞犯」は「犯罪予備軍」「非行少年」などに言い換えている。 且(かつ):「かつ」は副詞で「同時に」、接続詞で「それに加えて」という意味があるが、仮名書きが一般的であるとして、新聞社などマスメディアでは漢字を用いない。 遵(ジュン):「決められた規則などに従う」という意味。遵守、遵法などの熟語があるが、『新聞用語集』『NHK漢字表記辞典』共に順守、順法など、同音の「順」とする表記を採る。 朕(チン):かつての天皇の一人称。使用頻度が低いとして使用しないこととされている。『新聞用語集』「用字用語集」に表記例は示されず、『NHK漢字表記辞典』では仮名書きすることが示されている。 但(ただし):仮名書きが一般的であるとして漢字を使用しないこととされている。 附(フ):同音の「付」に書き換える。新聞では学校名や病院名など固有名詞に含まれる「附属」も「付属」とする表記が行われる。『NHK漢字表記辞典』では固有名詞では「附属」の表記も認めている。 又(また):仮名書きが一般的であるとして漢字を使用しないこととされている。公用文とは違い「または」も仮名書きにする。 用途が限られる常用漢字 畝(うね・せ):「畝」(せ)は尺貫法の面積の単位で、反の十分の一。2010年の改定で「せ」の読みが常用漢字表から削除された。「うね」は畑の土盛りの部分。農業関係者を除き用いる機会はまれである。 璽(ジ):「璽」とは天子(皇族)の印のこと。国璽、御璽、印璽などといった熟語があるが、日常で用いられることは極めて少ない。 朕(チン):「朕」は天皇の旧一人称。現在は「私」(わたくし)を用いているが、日本国憲法の上諭で使われている。他は西洋史において「朕は国家なり」という諺が使用される程度で、日常で用いることは極めてまれである。 尺貫法で用いられる常用漢字 斤(キン):「斤」は尺貫法で用いられる質量の単位であり、江戸時代は貨幣の単位にも用いられた。削除が検討され、人名用漢字になる予定だったが、慣習的に食パンを数える単位として用いられるため常用漢字に残された。熟語として斤量などがあるが、競馬において頻用されるほかはあまり用いられていない。 世論調査によって、あまり使用しないと回答された漢字 逓(テイ):「逓」は「一定の数だけ〜していく」という意味。熟語として逓信、逓増、逓減があり、かつて日本では1946年まで逓信省という行政機関が存在し、また現在の日本郵政グループ労働組合の前身の一つとなる労働組合は2004年まで「全逓信労働組合(全逓)」を名乗っていた。世論調査によって、6割以上の人があまり使用しないと回答した漢字の一つである。 遵(ジュン):「逓」同様に、世論調査によって、6割以上の人があまり使用しないと回答した漢字の一つである。
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