岩手県蒔前遺跡出土品
主名称: | 岩手県蒔前遺跡出土品 |
指定番号: | 492 |
枝番: | 00 |
指定年月日: | 1994.06.28(平成6.06.28) |
国宝重文区分: | 重要文化財 |
部門・種別: | 考古資料 |
ト書: | |
員数: | 一括 |
時代区分: | 縄文 |
年代: | |
検索年代: | |
解説文: | 本件は、蒔前遺跡から出土した縄文時代晩期の土器・土製品・玉・石器・石製品類の一括である。 遺跡は、二戸郡一戸町のほぼ中央、馬淵川【まべちがわ】が形成した山間の盆地に広がる段丘上に位置し、標高は約一四〇メートルを測る。遺跡の発見は古く江戸時代にまでさかのぼり、菅江真澄(一七五四-一八二九)の著書『新古祝甕之図』中に、蒔前遺跡出土と思われる注口土器の紹介がある。その後、明治年間にも遺跡の存在に注意した研究者があったが、昭和五年、この地に蚕糸試験場が建設されることになり、整地工事に際して多量の遺物が出土した。本件の大半は、この際の採集遺物である。 遺物は、深鉢形・鉢形・注口・壺形・香炉形等の土器類百五十八箇、土面二箇、土偶残欠共十五箇、亀形土製品三箇、蛇紋岩大珠一箇のほか、磨製石斧等の石器類、石剣・円盤状石製品等の石製品類で構成される。これらは、いずれも晩期前半(大洞B~C1式期)の所産で、その内容は、河口域に所在する八戸市是川遺跡とともに馬淵川流域の亀ケ岡文化を代表する遺跡の一つとなっている。特に、土面のうち一箇は、「鼻曲がり土面」と通称され、眉・両目・口を左上がりに表現し、鼻を強く左に曲げる。他の一箇は小形、皿状に全体を作り、遮光器【しやこうき】土偶と共通した顔面表現を施す。前者のような鼻を曲げる土面の表現は、他にも数例存在するが本例は遺存状態がよく、見る角度によって様々な雰囲気を醸し出す。縁片部の左右には紐孔の表現もあるが、片方は貫通していない。また内面には箆状の工具による成形痕が荒々しく残る。 本件の一括は、特異な顔面表現の土面を含み、亀形土製品・土偶・石剣など、縄文時代の精神文化に関わる遺物を多く含み、当時の生活および習俗・儀礼を考える上で欠かせないものである。 |
考古資料: | 岩偶 岩宿遺跡出土品 岩手県八天遺跡土壙出土品 岩手県蒔前遺跡出土品 岩版 岩版 嵌珠金銀錯斜格子文壺 |
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