小学校受験の現状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 04:07 UTC 版)
「親の出身小学校に通わせたい」「附属大学までの一貫教育の魅力」等を理由とした従来からの受験層による閉鎖的なイメージがあったが、「教育理念がしっかりしている」「質の高い教育と教員が期待できる」「カリキュラムの充実」「設備の充実」等を理由にバブル経済期の1980年代以降、小学校受験ブームが到来した。バブル崩壊によりブームは一時的に沈静したが、ゆとり教育への危機感から「学力指導への期待」「地元の公立小学校への不信」「激化する一方の中学受験のあり方への疑問」等、公教育や中学受験への不満を背景に2000年頃から再び小学校受験熱が大きな高まりをみせている。 学校側も少子化への危機感から学校の門戸を幅広い層に広げる必要があり、少しでもよい環境で子供を学ばせたいと願う親の熱意と相まって、首都圏や関西圏の一部では小学校受験は珍しくない光景となっている。特に受験が盛んな渋谷区や千代田区、文京区などでは就学児童の4割超が国私立小に進学する地区もみられる。 2006年から関関同立が相次いで小学校を開設することで関西の私立小ブームに火が点き、2014年には洛南高等学校附属小学校も開校。関東でも慶應義塾横浜初等部が2011年開校するなど、多様化する私立小への注目の更なる高まりが予想されている。2019年4月には、東京都世田谷区に東京農業大学稲花小学校が開校。多摩地域では2002年の早稲田実業学校初等部をはじめ複数の学校が開校していたものの、東京都区部での私立小学校の開校は59年ぶりの出来事だった。中京圏では2008年の南山大学附属小学校に続き、2012年に名進研小学校が開校している。 これら以外の有力私学も、早い段階での生徒の確保、高い学力レベルの維持、運営資金の獲得、ブランド力の維持などを目的に小学校開設を計画しており、その成否が自校の存亡に関わる問題と考えている。ただし、少子高齢化や地域格差の影響は避けられず、常に人気の高い学校があれば、毎年のように定員割れの学校もあり、教育環境が整えられなくなったり採算が取れなくなったりという理由で規模縮小や閉校となってしまうケースもある。 前述のとおり、長らく国立大学附属小学校と私立小学校がお受験の主流であったが、東京都が小学校~高校までの12年間の一貫指導を行う「都立小中高一貫教育校」を2022年4月に開校する予定であり、新たに都道府県立小学校という選択肢が生まれる予定である。
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