家族愛
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 16:40 UTC 版)
家族愛(かぞくあい)とは、恋愛感情とは異なる家族の愛情[1]。
創作における家族愛
本田透は『シスター・プリンセス』は妹の兄に対する家族愛の感情を扱った作品だと指摘している[2]。だが、本田透は『Clannad』のように家族愛を扱った作品は、オタク向け作品など一部にしか見られなくなってしまったと指摘する[3]。
社会における家族愛
野田潤は、育児や介護といった社会問題になるはずのものが、家族愛の名の下に個人の責任にされてしまっていると指摘する[4]。また、野田潤は、日本では再生産労働の従事者は女性が大半であるため、子どもに対する親密性を強調することは母性の強調になるわけである[5]。
教科書で教える家族愛
日本では2018年(平成30年)より従来あった小学校の「道徳の時間」が教科となり、検定教科書を用いて児童生徒を評価する形に変わった[6]。
文部科学省による『小学校学習指導要領(平成 29 年告示)解説 特別の教科 道徳編』によれば、「家族愛,家庭生活の充実」に関しては以下のようなことを教えるとしている。
〔第1学年及び第2学年〕
— 小学校学習指導要領(平成29年告示)解説[7]
父母,祖父母を敬愛し,進んで家の手伝いなどをして,家族の役に立つこと。
〔第3学年及び第4学年〕
父母,祖父母を敬愛し,家族みんなで協力し合って楽しい家庭をつくること。
〔第5学年及び第6学年〕
父母,祖父母を敬愛し,家族の幸せを求めて,進んで役に立つことをすること。
(中学校)
[家族愛,家庭生活の充実]
父母,祖父母を敬愛し,家族の一員としての自覚をもって充実した家庭生活を築くこと。
教科書で道徳を教えることについては、特定の価値観の押しつけや、「理想的な家族像」を示すことがかえっていじめにつながるなどの懸念があるとの意見がある[8]。
出典
- ^ 『萌える男』(本田透、筑摩書房、2005年) 143ページ ISBN 4-480-06271-8
- ^ 『萌える男』(本田透、筑摩書房、2005年) 151ページ ISBN 4-480-06271-8
- ^ 『萌える男』(本田透、筑摩書房、2005年) 147ページ ISBN 4-480-06271-8
- ^ 『社会学講義』(橋爪大三郎、佐藤郁哉、吉見俊哉、大澤真幸、若林幹夫、野田潤著、筑摩書房、2016年) 206、211ページ(野田潤による執筆部分) ISBN 978-4-480-06898-9
- ^ 『社会学講義』(橋爪大三郎、佐藤郁哉、吉見俊哉、大澤真幸、若林幹夫、野田潤著、筑摩書房、2016年) 200、201ページ(野田潤による執筆部分) ISBN 978-4-480-06898-9
- ^ 根拠欠く教科書 どう評価?悩む先生 教科になった道徳:朝日新聞デジタル(2018年10月8日)2021年8月8日閲覧
- ^ 【特別の教科 道徳編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説、p.56
- ^ 道徳の必修化はいじめ増加を招く | 上久保誠人のクリティカル・アナリティクス | ダイヤモンド・オンライン(2015年2月18日)2021年8月8日閲覧
関連項目
家族愛
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詳細は「家族愛」を参照 親子、兄弟姉妹、祖父母や孫などに対する愛。家族愛の根拠は血のつながりに求められることが多いが、家族という言葉は広い範囲を指しているものであり、血縁があるかないかは関係ない。養子も大切な家族である。ヨーロッパやアメリカでは、アフリカなどで生き場を失った子供などを養子にし自分の家族の一員として迎え入れ大切に育てる人が増えてきている。 母が子に抱く愛や父が子に抱く愛をそれぞれ「母性愛」や「父性愛」などと言う。母性愛と父性愛は質的に異なり、それぞれの役割や社会的機能があると考えられている(これについては母性・父性の項が参照可)。愛情表現には多々あるが、コミニュケーションの中で子やパートナーの話に耳を傾けたり、抱きしめて相手を受け入れていることを示す方法、またそれらを行うための大切な時間を分け与えるなどの方法がある。 なお近年ではペットも家族としてとらえることが一般的になってきている(日本でもペットを飼い始めることを「○○(ちゃん)を家族として迎え入れた」としばしば表現するようになっている。特に犬や猫など、感情の交流ができる動物の場合にしばしばそういう表現がされている)。 こうした家族愛の成立は、かなり新しいものであると考えられている。エドワード・ショーターは中世ヨーロッパには家族愛は存在せず、性愛・母性愛・家族愛は近代になってはじめて家族に持ち込まれたとした。この3つの概念が持ち込まれたことで、19世紀には「性=愛=生殖」の一致を基本とする近代家族が成立し、以後の家族観の基礎となった。また、同時に家族は夫婦・親子の愛によって相互に結ばれるものというイデオロギーが成立した。この概念は明治時代に日本にも持ち込まれ、大正時代には都市部の新中産階級に普及した。一方で家族愛の中での比重は日本と欧米に違いが見られ、一般に欧米は夫婦愛が最も重要であるのに対し、日本の家族愛は母性愛がその柱となっているとされる。また、愛が家族関係の中心的な概念となった結果、逆に愛情が薄れた場合離婚などで家族関係を解消することも多くなった。
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