実験の再現
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 16:10 UTC 版)
詳細は「キャヴェンディッシュの実験」を参照 地球密度の計測値の変遷計測・計算者計測値[ kg·m−3 ]正式公表値に対する相対誤差 [ % ]1778 マスケリン, ハットン 4,500 -18.4 % 1798 キャヴェンディッシュ 5,480 ± 38 -0.6±0.6 % 1811 プレイフェア 4,560〜4,870 -17.3〜-11.7 % 1821 キャヴェンディッシュ, Bailyによる訂正 5,448 ± 33 -1.2±0.6 % 1856 ジェームス 5,300 -3.9 % 2005 コンウェイによる再実験 7,500±1,900 36±34.4 % 2007 現代分析手法による再計算 5,480±250 -0.6±4.5 % 現代の正式公表値 5,515 N/A さらに直接的そして正確な地球の平均密度の測定はシェハリオンの実験の24年後であり、1798年、ヘンリー・キャヴェンディッシュは鉛球の質量間に働く相互作用を測定するために精巧で敏感なねじり天秤を用いていわゆるキャヴェンディッシュの実験を行った。キャヴェンディッシュによる地球密度の値 5.448 ± 0.033 kg·m−3 は現代科学において用いられる値 ( 5,515 kg·m−3) に対して約1%の誤差でありその測定精度は1世紀後の1895年のチャールズ・バーノン・ボーイズによる実験まで超えられなかった。キャヴェンディッシュが実験に対して払った注意とその正確さはその後、彼に多大な名声をもたらした。 ジョン・プレイフェア (en) は1811年、2回目のシェハリオン山の調査を実施し、岩盤層に関する再考に基づいて地球密度を 4,560〜4,870 kg·m−3 と見積もったが、1821年にハットンから王立協会に提出された論文においてプレイフェアの結果は強く反論された。プレイフェアの計算値は現代で知られている値に近くなったが、それに先立つ13年前のヘンリー・キャヴェンディッシュによる計算値よりもまだ小さく、精度はかなり劣るものであった。 シェハリオンの実験はイギリス地形測量局 (en) の長官であるヘンリー・ジェームスにより1856年に追実験され、そこではシェハリオン山の代わりにエジンバラ中心部にあるアーサーの玉座 が用いられた。イギリス地形測量局でジェームスが持っていた人的・金銭的・資料的資源の利用により、すでに実施されていた半径 21 km にわたる地形調査をミッドロージアンとの境界あたりまで拡張した。彼はそこで地球の密度として約 5,300 kg·m−3を得た。 1774年の実験の一変型として2005年に行われた実験では、振り子による天頂方向の局所的な変化を計算するのではなく、シェハリオン山の麓と頂上での振り子の周期を高精度比較するものである。振り子の周期は局所的な加速度 g の関数である。振り子の振動は標高に従ってゆっくりとなることが期待されるが、山の質量の存在がこの変化を減少させるはずである。この実験は1774年の実験の実施よりも原理的に簡単であるという特徴を持つが、期待される精度を得るためには振り子の周期を100万分の1以下の精度で計測する必要がある。この実験で得られた平均密度 7,500±1,900 kg·m−3 から、地球の質量として 8.1±2.4×1024 kg を得た。 この地球物理学的データは現代のデータ分析手法によると1774年の実験チームがなし得なかった点に注意を払うことができる。半径 120km の数値標高モデルによると、かなり発達したシェハリオン山の地質学的特徴の知識と特にコンピュータの発達により2007年の報告では、本実験の結果に基づいて計算された地球の密度は 5,480±250 kg·m−3 である。この値は現在知られている 5,515 kg·m−3 という地球の密度と比較すると、マスケリンの天文観測の精度を証明するものである。
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