実験の反響と生かされなかった教訓
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/11/24 10:12 UTC 版)
「プロジェクト・エクセルシオ」の記事における「実験の反響と生かされなかった教訓」の解説
プロジェクト・マンハイとプロジェクト・エクセルシオの成功は、当時のアメリカ国内に大きな反響を巻き起こし、キッティンジャーを始めとするパイロットたちは「(広義の意味での)宇宙へ初めて到達した人類」として大きな賞賛を集めた。キッティンジャーはこの功績で2度の空軍殊勲十字章を授与され、また、アイゼンハワー大統領からハーモン・トロフィーを授けられた。しかし、この出来事の僅か1年後にソビエト連邦はボストーク1号でユーリイ・ガガーリンを宇宙へ送り出す事に成功、キッティンジャーたちの挑戦は過去の出来事として忘れ去られていった。 キッティンジャーはこの2つの実験のデータを元に、宇宙船の安全な運行のための下記の二つの提言をNASAに対して行ったが、いずれも当時のNASAの宇宙開発計画で真摯に受け入れられる事がなかった事を、後にドイツの放送局が制作したドキュメンタリー番組で語っている。この番組は日本ではNHKの「BS世界のドキュメンタリー <シリーズ 宇宙に挑む> 宇宙への知られざる第一歩」として放送された。 その提言とはこのような内容であったという。 宇宙船内を純粋な酸素で満たす事は、出火対策上極めて困難な技術的課題が多く、万一の事故の際には飛行士を生命に関わる危険な事態に晒す事になるため厳に慎む事。 宇宙船が打ち上げ中に故障を起こした際に、飛行士がパラシュートを用いて個人単位で安全に脱出できるような緊急脱出装置(例えば射出座席など)を備え付ける事。 しかし、当時のNASAはこの提言を受け入れる事はなかった。番組内でキッティンジャーは「あの時この二つの提言を受け入れてもらえていれば、後のアポロ1号の火災やチャレンジャー号爆発事故で死亡した飛行士たちの命が救えていたかもしれない」と述懐している。
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