大坂町中時報鐘
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大坂町中時報鐘(おおさかまちじゅうじほうしょう)は、重さ3トン、高さ1,9mの鐘である。江戸時代には2時間おきに鐘をつき、時を知らせた。『曽根崎心中』に登場する「暁の鐘」は、この鐘の音とされる。鐘楼はたびたび火災に遭って焼失したが、鐘は残った。明治に入り、市中に時を知らせる役割が号砲に変わると、1870年に撤去された。以後寺や小学校などに預けられ、1926年に大阪府庁舎が新設された際に屋上の鐘楼に掛けられた。しかしその後は存在を忘れられ、戦時期の金属回収も免れた。 1970年代に郷土史家らによって鐘が「再発見」される。1970年、大阪府有形文化財指定。かつての釣鐘屋敷跡(釣鐘町二丁目)に企業家らが資金を提供して 鐘楼を築き、1985年6月10日(時の記念日)をもって鐘を「里帰り」させた。なおこの際、鐘楼部分の土地(17坪)については地主(住友生命)が「大坂町中時報鐘顕彰保存会」に「永代貸与」する協定が結ばれた。なお、釣鐘の所有者は大阪府である。 その後土地はマンション用地として転売されたが、無償で貸与する協定は引き継がれた。2015年当時はマンションの一角に鐘楼が所在し、平素は午前8時、正午、日没の3回、コンピュータ制御によって撞木が動き、鐘を鳴らしていた(6月10日と大みそかは手動で鳴らしていた)。 しかし、マンションの地主である不動産会社が土地を売却する際に、17坪部分の無償貸出協定がネックとなった。17坪部分の土地を分筆し、それ以外の土地は売却できたものの、17坪についてはこの不動産会社所有のまま残った。不動産会社は、固定資産税の負担が大きいとして、2015年12月以降、保存会および府に対し、協定解除・土地明け渡し(ないしは土地の時価での買い取り)を求め、訴訟となっている。
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