墓碑・墓誌銘
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「エピタフ」も参照 故人を顕彰するため、墓のそばに姓名・生前の業績・記念文を記して建てたもの。一般的に墓域内に「墓碑」として建てるのが普通であるが、中国では一時期建碑が禁じられたことがあったため、碑を石板に変えて棺のそばに埋めた。この場合は「墓誌」と称する。 中国では南北朝時代から隋代にかけて爆発的に流行し、当時の書道の実態を語る史料として大量に出土している。墓碑では「高貞碑」、墓誌では「刁遵墓誌」「張黒女墓誌」などが著名で、六朝楷書の書蹟として知られる。 また西安市(かつての長安)の工事現場で2004年に見つかった日本出身で唐に仕えた井真成の墓誌、大韓民国忠清南道公州市(かつての熊津)の宋山里古墳群百済で1971年に見つかった武寧王の墓誌なども知られる。 日本古代の墓誌の埋納は7世紀末~8世紀末まで行われ、最盛期は8世紀前半である。銘文を残存しているものは18点ある。 画像埋葬者年紀字数出土地文化財指定保管施設文化庁名称区分複製 船王後 戊辰年(668年) 162字(両面) 大阪府柏原市 銅製船氏王後墓誌 国宝 三井記念美術館(個人所有) 小野毛人 丁丑年(677年) 48字(両面) 京都府京都市 金銅小野毛人墓誌 国宝 京都国立博物館(崇道神社所有) 文禰麻呂 慶雲4年(707年) 34字(片面) 奈良県宇陀市 文祢麻呂墓出土品 国宝 東京国立博物館 威奈大村 慶雲4年(707年) 391字(蓋) 奈良県香芝市 金銅威奈大村骨蔵器 国宝 京都国立博物館(四天王寺所有) 複製 下道国勝・国依の母 和銅元年(708年) 47字(蓋) 岡山県小田郡矢掛町 銅壺 国の重要文化財 圀勝寺 伊福吉部徳足比売 和銅3年(710年) 108字(蓋) 鳥取県鳥取市 銅製伊福吉部徳足骨蔵器 国の重要文化財 東京国立博物館 道薬 和銅7年(714年) 32字(両面) 奈良県天理市 佐井寺僧道薬墓出土品 国の重要文化財 奈良国立博物館 太安麻呂 養老7年(723年) 41字(片面) 奈良県奈良市 太安萬侶墓誌 国の重要文化財 奈良県立橿原考古学研究所附属博物館 山代真作 戊辰年(728年) 76字(片面) 奈良県五條市 金銅山代忌寸真作墓誌 国の重要文化財 奈良国立博物館 小治田安万侶 神亀6年(729年) 64字(片面) 奈良県奈良市 金銅小治田安万侶墓誌 国の重要文化財 東京国立博物館 美努岡万 天平2年(730年) 173字(片面) 奈良県生駒市 銅製美努岡万連墓誌 国の重要文化財 東京国立博物館 拓本 楊貴氏 天平11年(739年) 43字(片面) 奈良県五條市 (非現存) 行基 天平21年(749年) 21字(身) 奈良県生駒市 銅製行基舎利瓶残片 重要美術品 奈良国立博物館 石川年足 天平宝字6年(762年) 130字(片面) 大阪府高槻市 金銅石川年足墓誌 国宝 大阪歴史博物館 宇治宿禰 □雲2年(768年?) 28字(片面) 京都府京都市 東京国立博物館 複製 高屋枚人 宝亀7年(776年) 37字(片面) 大阪府南河内郡太子町 高屋連枚人墓誌 国の重要文化財 叡福寺 紀吉継 延暦3年(784年) 47字(片面) 大阪府南河内郡太子町 紀吉継墓誌 国の重要文化財 妙見寺 - 日置(郡)公 なし 33字(片面) 熊本県玉名郡和水町 (非現存)
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