垂直跳びの仕組みとは? わかりやすく解説

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垂直跳びの仕組み

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/13 02:00 UTC 版)

垂直跳び」の記事における「垂直跳びの仕組み」の解説

垂直跳び大きく3つの段階初期・中期後期)でその運動形態分けることができる。垂直跳びのためのパワー発揮は、素早い上体沈み込み抜重動作)によって股関節屈曲し股関節周辺単関節筋である股関節伸筋群(主に大臀筋、以下 (1) )が急激に引き伸ばされ伸張反射によって強い収縮引き起こされることにより股関節伸展開始することから始まる。この時、ほぼ同時に膝関節周辺単関節筋群(以下 (2) )が伸張反射引き起こし膝関節伸展ようとするが、股関節伸展膝関節屈曲関与する二関節筋ハムストリングス(以下 (3) )が股関節伸展のために収縮しているので、(2) と打ち消しあうことで、股関節伸展促進され上体は立ち上がるが、膝関節伸展抑えられる初期)。上体が立ち上がることで (3)収縮弱まり股関節屈曲膝関節伸展関わる二関節筋群(主に大腿直筋、以下 (4) )が引き延ばされ、これも伸張反射によって強い収縮をすることで、今度股関節伸展抑えられ膝関節伸展促進される中期)。(4) によって膝関節急激に伸展開始すると、膝関節屈曲足関節底屈関わる二関節筋腓腹筋、以下 (5) )が引き延ばされ活発に力を出し始める。この時、(4) は (1) に逆らって胴体後方への回転抑えながら、(1) のパワーを膝へと伝えている(膝関節伸展貢献している)。(5) は膝関節曲げようとするが、大腿下腿回転勢いなどにより膝関節伸展続けるので、結果的に (5) によって踵が上へ引っ張られ足関節急激に底屈させる(後期)。これらのことは1秒未満一瞬起きていることなので意識することはできないが、(1) ~ (5) が前述のように非常に巧みに連動することで跳躍が可能となるのである単関節筋が発揮した力と二関節筋発揮した力が互いに打ち消しあう。というようなことがあり、パワー発揮の面で損をしているように思えるが、これが重要な働きのである。なぜなら、筋肉収縮速度が遅い方が大きな力を発揮できるからである(Hill方程式)。二関節筋単関節筋の収縮速度適正に保つことによって(パワー上手に伝えているとも言える)、人により差はあるにせよ、跳躍可能にする大きなパワー生み出すことができるのであるまた、高く飛ぶためには大腿四頭筋鍛えなければならない思われている場合が多いが、前述仕組みによると、大腿直筋は (1) のパワー膝関節伝えたにすぎないので、最大筋力が筋の横断面積に比例することからも、膝関節伸展パワー多くは (1) から伝わったものだと考えることができる。また、足関節底屈筋群は、股関節伸展筋群や膝関節伸展筋群に比べて細いのに(最大筋力は筋の横断面積に比例する)、足関節跳躍の際に、他の下肢関節により発揮され伝わってきた大きなパワー強力な底屈によって地面伝えることができるのは、太くて長い腱(アキレス腱)が、パワー多く弾性エネルギーとして蓄え、それが強力に縮む、ということ起きているからである.全身運動に関して弾性要素である腱は、弾性エネルギー利用という面で大きな役割担っている(「バネのある動き」とは弾性要素有効に発揮できている動き)。最近流行している言葉でもあるSSC伸張短縮サイクル、Stretch-Shortening Cycle)が上手に使えているかどうかも、垂直跳び動作根幹をなす重要なことである。 高い垂直跳びパフォーマンス発揮するためには、鋭い抜重動作タイミング良い腕の振り反動動作)が必要となる。抜重動作には物理的に一時的に重心下方加速させることで床反力減少させ、重心上昇局面に移る時にそれまで得た加速度の分だけ増加した反力得られる、という効果がある。簡単に表すと下記の式のようなことになる。(Fはその時の床反力、mは跳躍者の体重、gは重力加速度、aは重心加速度上方を正、下方を負とする) 静止状態: F = m g {\displaystyle F=mg} 沈み込み時: F = m ( g − a ) {\displaystyle F=m(g-a)} 切り替わり時: F = m ( g + a ) {\displaystyle F=m(g+a)} この考えからすると抜重動作によって地面反力を0に近づけることができれば作用反作用により、より大きな反力を得ることができるということになる。 腕の振り役割大きく2つある。一つ目反動動作もう一つ上体引き上げである。後方勢いよく振り上げた腕が、振りおろしによって下向き加速すると、下降から上昇切り替わる時、腕はそれまで加速と腕の質量の積と等しい力で肩関節下向き引っ張る。その力は最終的に地面足裏を押す力となる。つまり、腕の振りによって床反力増加させることができるのである。この力は、最終的に下肢かかっているので、下肢関節伸展させる筋肉強制伸張し反動動作目的である収縮力の増加もたらしている。続いて、腕の上速度胴体の上速度よりも早い速度上昇し胴体の上速度と腕の上速度同じになる過程で、腕には下向き加速度生じる。すなわち、肩関節には上向きの力がはたらき、腕の振り上げが胴を上方引っ張ることになる。

※この「垂直跳びの仕組み」の解説は、「垂直跳び」の解説の一部です。
「垂直跳びの仕組み」を含む「垂直跳び」の記事については、「垂直跳び」の概要を参照ください。

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