地震雲の発生メカニズムと言われているもの
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/15 22:50 UTC 版)
「地震雲」の記事における「地震雲の発生メカニズムと言われているもの」の解説
現在のところ、地震雲の発生メカニズムについて合意が広く得られた説明はなく、また雲の発現と地震の発生との間に因果関係も明らかにされていない。しかし、地震雲発生メカニズムの仮説としては、例えば、有明海の地下500メートルの坑道の気温と湿度の関係の観測結果から考えると、地震雲は「断層付近の地下の歪みにより気温の異常増加が起こり、その様な断層線があればその上で起こる」との説明を真鍋大覚がしている など、いくつかのメカニズムが示されている。 典型的な仮説としては、震源周辺から発生する電磁波が雲の生成に影響を与えるというものがある。地球の磁場や宇宙線、太陽風による磁場などがあるが、この仮説の電磁波は、それらの磁場の異常または他の原因によってできた磁場によるものである。 地震の発生前には、断層周辺に大きな圧力がかかり、その圧力によってさまざまな現象が起こると考えられている。岩石の中には圧力を加えると電磁波を発生させるものがあり、大きな規模で圧力がかかると大きな電磁波と磁場が発生すると考えられている。また、圧力によって地中の磁性体が変性・変形して磁場を変えたり、岩盤の破壊や圧力変性による地電流の異常が磁場を変えたりすることも要因として考えられている。 電磁波の放射によって、地上にも磁場変化や電磁波放射が及ぶ。高エネルギーの電磁波は気体分子をイオン化させるため、大気中に増加したイオンが水蒸気の凝結核となって雲の成長を促進し、地震雲が作られるとされている。また、磁場の変化の場合、強い磁場の中に反磁性体の雲粒や凝結核があるとそれが浮上することが知られており、このようなメカニズムで地震雲が作られるとされている。 詳細は「霧箱」を参照 しかし、磁場変化や電磁波放射の発生あるいは電磁波による雲の生成については一定の理解が得られているものの、『地下で発生した磁場変化や電磁放射が厚い地面や大気という媒体をどのように通過するのかについて』は理解が得られるような説が出されていない。そのため、俗説として扱われるにとどまっている。また、人工的な電磁波発生源(レーダー、スマートフォン、テレビ、ラジオの電波)が多数あるにもかかわらず、その電磁波によって雲の発生が観測されていないのはおかしいといった批判もある。 そして、雲の形状や高度を多角的に多くの観測点で観測すると、震源地の方位や、地震の規模、日時などが特定できるとしている地震雲研究者がいるものの、その多くが経験則に基づくものであり、「現時点では基本的な統計すらない」。 テレビ番組などでは「みのもんたのSOSシリーズ」の2005年9月30日の第4弾の中で「"科学的" 検証」が放映されたりしたが、「根拠までは何も提示されていない」。
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