噂の例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/29 18:58 UTC 版)
愛媛県周桑郡壬生川町の例 伊予の大気味神社の境内にある大樹に住んでいた喜左衛門狸は日露戦争に出かけた。小豆に化けて大陸へ渡り、上陸するとすぐ豆をまくようにパラパラと全軍に散り、赤い服を着て戦った。ロシア軍の将軍クロパトキンの手記には「日本軍の中にはときどき赤い服を着た兵隊が現れて、この兵隊はいくら射撃してもいっこう平気で進んでくる。この兵隊を撃つと目がくらむという。赤い服には、○に喜の字のしるしがついていた」と書かれているという。 愛媛県越智郡波止浜村の例 波止浜の仲之町の梅の木狸は、日露戦争において日本軍がロシア軍に苦しめられ、形勢が不利になっているのを知り、一族を引き連れて出征した。日露戦争では赤い服を着た一隊となった。ロシア兵が赤い服の兵士をいくら狙って撃っても当たらず、逆に赤い服の兵士の射撃は百発百中だった。軍功により梅の木壇十郎の名を賜る。太平洋戦争のときには梅の木さんは出征しなかったとか、梅の木さんがいないならこの戦争には負けるかもしれないとあれこれ噂になった。この梅の木狸の巣は、仲之町の来島ドックの事務所から、波止浜公園へ上がる途中にある老杉の木の根っこに近いところにあり、今はお堂が建っている。 香川県高松市の例 昔、ある狸が浄願寺近くの貧しい老夫婦にお世話になっていた。恩返しに茶釜に化けたが、これを買った隠居が毎日磨いたので、とうとう白く禿上がったという。日露戦争の時、この禿げ狸の総指揮の元、狸たちが出征した。兵隊に化けた狸は妖術かなにかで山を作り、そこにロシア兵が登ると山ごとひっくり返したりした。凱旋の時には狸までが提灯行列をおこなったという。 愛媛県温泉郡久米村の例 高井八幡神社の境内に、三光姫(おさん狸)という狸がいた。三光姫は娘姿によく化ける色白狸だった。日清戦争、日露戦争、次いで第一次世界大戦の際は高井からも多くの出征兵士を出した。ところが、他の部落に比べて、戦死者の率が非常に少なかった。これは三光姫が人間の姿をして兵隊となり、高井出身兵士の先導を勤めて、かばい守ったためと言い伝えられている。 香川県高松市屋島の例 屋島には源平の合戦の頃から太三郎狸が住んでいた。日露戦争がはじまると、乃木将軍が率いる第3軍第11師団・丸亀歩兵第12連隊は、203高地の戦いに参加した。屋島出身の兵士も、この師団・連隊に所属していたので、203高地の激戦に参加して多数の戦死者をだした。この戦況を心配した太三郎狸は、、四国中の狸を屋島に集めて、自らが総大将となって出陣した。玄海灘を航行中に各自は得意の術で、鉄砲や機関銃に化けて朝鮮半島に上陸した。親友である浄願寺の白禿狸は、南京袋に小豆を一杯詰めて持って行き、それを敵前でばらまいた。すると一粒一粒が一人一人の兵士に変身して、大軍となって敵陣へ突っ込んで行った。これにより旅順のロシア軍守備隊は降伏した。
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