各国・地域における表示基準
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 16:18 UTC 版)
「遺伝子組み換え作物」の記事における「各国・地域における表示基準」の解説
バイテク情報普及会によると諸国の表示や規則は次のようになる。 アメリカ 従来のものと同等であるという観点から、遺伝子組換え食品に関する表示は義務付けられていない。さらに、「遺伝子組換え作物は含まれていない」、「遺伝子組換え不使用」などに相当する表示は厳しい条件の下でしかできず、実質的には困難である。しかし、高オレイン酸含有大豆の様に従来のものと著しく組成・栄養に変化がある場合には、その成分を表示することとなっている。 カナダ アメリカと同様に栄養組成が従来のものと異なる場合にだけ表示が義務付けられていた。しかし、2004年4月15日、カナダ政府は遺伝子組換え原料を使用の有無の食品表示および広告を自主的に行うことに関する基準を、カナダの国家規格としてカナダ規格審査会が公式採用したことを発表した。 EU 遺伝子組換えに関する表示は、遺伝子組換え作物に由来するDNAやそのDNAに由来するタンパク質の最終製品中での有無にかかわらず、遺伝子組換え作物から生成されたすべての食品に義務付けられている。つまり、油のような加工食品や食品添加物、その他に飼料などについても表示が義務付けられている。ただし、組換え飼料で飼育された家畜由来の肉製品や卵、蜂蜜などの例外規定も存在する。表示方法としては、「この製品は、遺伝子組換え体を含む("genetically modified...")」または「…遺伝子組換え(作物名)から製造("produced from genetically modified...")」に相当することを記すこととなった。ただし、「遺伝子組換え作物は含まれていない」、「遺伝子組換え不使用」などに相当する表示("Without Genetic Engineering"、"without GMOs")が見受けられるが、EUの制度として認められているものではなく、このような表記をEUのいくつかの国ではアメリカと同様に国内的に規制している。なお、表示規制は、最終消費者向けのものだけでなく外食事業者向けのものについても適用される。しかし、外食事業者が調理・加工して顧客に出す場合には義務表示規制が適用されず、そのまま出す場合にだけ適用される。たとえば遺伝子組換えパパイヤをそのまま出す場合は、メニュー等に「遺伝子組換えパパイヤ」と表示しなければならないが、それを使ってフルーツケーキを作って出す場合は表示が不要となる。また、承認されている遺伝子組換え作物については、意図せざる混入であれば0.9%までは「遺伝子組換え作物を含む」旨を表示しなくても良い。また、EUでは承認されていない遺伝子組換え作物であっても、EUの科学的リスク評価で肯定的な決定が出されている作物であれば、意図的でなければ0.5%までの混入を認めている。 オーストラリア・ニュージーランド 2001年12月から、遺伝子組換え体由来の作物および加工食品について表示が義務付けられた。そのうち、組み込まれたDNAや、それに由来するタンパク質が製品中に残らない油や砂糖などの加工食品には表示する必要はない。ただし、高オレイン酸含有大豆の様に組換えによって成分や特性に変化が見られる場合は表示が義務づけられている。なお、分別された非組換え原材料を使用している場合でも、「遺伝子組換え不使用」「非組換え」「GMフリー」「Non-GM」等に相当する表示は、検出される可能性がまったくない場合以外はできない。つまり、分別されていても、意図せざる混入があるため、実質的に「非組換え」等の表示は許されていないということを意味している。 韓国 対象品目において、遺伝子組換え作物を使っている場合は「遺伝子組換え」または「遺伝子組換え○○を含む」に相当することを表示しなければならない。なお、意図せざる混入の場合、最大3%までは認められており、今後は検査技術の精度や国際動向などを考慮し、順次1%水準にまで引き下げるとしている。また、「遺伝子組換え不使用」に相当することを表示できるのは、遺伝子組換え作物の混入の検出限界以下の場合だけである。
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