各バージョンにおける手法の変遷
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「OSx86」の記事における「各バージョンにおける手法の変遷」の解説
Mac OS X v10.4 "Tiger" Appleが自社製コンピューターをインテルベースに切り替えることを決定した時点での現行OSであり、OSx86プロジェクトはこのバージョンのMac OSから始まった。2006年1月10日、Appleは初のインテル製マイクロプロセッサ向け製品として、Mac OS X v10.4.4をiMacおよびMacBook Proとともにリリースした。これらの製品には、ほとんどのx86マザーボードに見られるBIOSに代えて、EFI (Extensible Firmware Interface) が採用された。 2006年2月14日、初のクラッキング方法が、Maxxussというユーザ名のハッカーによりインターネットに流れた。数時間のうちに、Appleは10.4.5アップデータを配布したが、その後また2週間を待たずにMaxxussはこれに対してクラッキングを可能にするパッチを配布した。2006年4月3日、Appleは 10.4.6 アップデータを配布。するとまた2週間を待たずして、アップデートされたOS Xを非Apple製PCへインストールを可能にするパッチが配布された。このパッチは、SemjaZaというハッカーによるもので、JaSによってコンパイルされた。JaSは同年6月に、10.4.4のカーネルを使用した非Apple製PC向けの10.4.7をリリースした。以降、コミュニティに参加する複数の参加者の手によって、このプロジェクトは進行していく。 10.4.8アップデータに至るまで、すべてのOSx86プロジェクトによるパッチは、10.4.4のカーネルを採用している。より新しいカーネルを採用した取り組みに関しては、10.4.8のOSx86ユーザは、多くの問題点に遭遇している。 Appleはハードウェアに対して、SSE3(ストリーミングSIMD拡張命令)拡張命令をより多く採用するようになり、SSE2のみをサポートするCPUを採用しているハードウェアでシステムを動かすことを困難にさせている。しかしコミュニティは、この問題も克服して行く。 2007年3月、OSx86コミュニティは、ハードディスクドライブにインストールすることなしに Mac OS X v10.4.8を起動させることができる、Live DVD(Live CDのDVD版)を開発するという特筆すべき進歩を見せた。また同月、OSx86プロジェクトを進めてきた InsanelyMacのウェブサイトが、イギリスのFubra Limitedに売却された。一部の人は、このウェブサイトの商業化に反対した。 Mac OS X v10.5 "Leopard" Uphuckと呼ばれるハッカーが、iATKOSというコードネームでMac OS X Leopard全体を含むDVDイメージインストーラーを、インターネットを通じて配布した。このインストーラーは、Appleのライセンス同意契約に違反している。Kalywayと呼ばれるハッキングチームは、スタンドアローンの10.5.1 DVDイメージインストーラーを作成した。Zephyrothと呼ばれるハッカーは、10.5.2をAMDベースのPC用にリリースした。 Mac OS X v10.6 "Snow Leopard" 2009年にMac OS X v10.6 (Snow Leopard) がリリースされると、OSX86 ProjectでSnow Leopardへのアップデート方法が紹介された。10.6.5へのアップデートを経て、2011年1月の10.6.6へのアップデート方法も紹介された。これまではインストーラーや、インストールパッケージに様々な改変が加えられたISOイメージをP2Pなどでダウンロードする、という形式が主だったのに対し、このバージョンより正規のDVDを用いたインストールが主流となっていった。Vanilla(改変されていない素のソフトウェア)状態のカーネルを利用するため、Appleによるソフトウェアアップデートを即座に受けられたり、より本来のMac OS Xに近い(第三者の手が加わっていない)状態で利用することが可能となった。これは、10.7以降のOS Xの提供方法の変化と相まって、現在のOSx86インストール方法の主流である。ブートローダとしてChameleonが利用された。 OS X 10.7 "Lion" 32bitハードウェアで起動できる最後のOS Xである。このバージョンのOS Xより、アップデータファイルがApp Storeを通じて販売されるようになり、OSx86のインストール方法にも変化が現れた。tonymacx86は起動に必要なファイルをパッケージ化したほか、それらの設定やOSインストールディスク作成を支援するスクリプトMultiBeast・UniBeastをリリースしたことで、セットアップが容易になった。 OS X 10.8 "Mountain Lion" 64bit CPU、64bit EFIが必須となった。 macOS 10.12 "Sierra" SSE4.1が必須となった。 macOS 10.14 "Mojave" Metal API未対応グラフィックドライバが排除されたため、未対応GPUで利用するには旧OSからドライバを流用する必要がある。またNVIDIAが提供するWeb Driverへの対応が見送られたのみならず流用方法も発見されなかったため、当ドライバを必須とするMaxwellアーキテクチャ以降の同社製GPUを利用したアクセラレーションが出来なくなった。 macOS 10.15 "Catalina" システム整合性保護が導入された影響で、旧来のブートローダではカーネルエクステンション(kext)をロードできなくなった。OpenCoreがこれにいち早く対応した。 macOS 12 "Monterey" Intel HD Graphics 4000およびNVIDIA Keplerグラフィックドライバが排除されたため、該当GPUで利用するには旧OSからドライバを流用する必要がある。
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