古代エジプト美術部門
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「ルーヴル美術館」の記事における「古代エジプト美術部門」の解説
古代エジプト美術部門には、ナイル川流域に発展した文明の、紀元前4000年から4世紀にわたる5万点以上の美術品が所蔵されている。エジプト美術コレクションとしては世界最大規模であり、古代、中王国時代、新王国時代、初期キリスト教時代(コプト美術 (en:Coptic art))、ローマ属州時代、プトレマイオス王国時代、ビザンティン帝国時代の美術品が網羅されている。この部局の原点は王室コレクションまでさかのぼることができるが、ナポレオン1世の1798年のエジプト遠征でコレクションが大きく発展したものである。このときのエジプト遠征には、のちに初代ルーヴル美術館館長となるドミニク・ヴィヴァン (en:Dominique Vivant) も同行していた。その後、ジャン=フランソワ・シャンポリオンが『ロゼッタ・ストーン』を解読すると、フランス王シャルル10世が古代エジプト専門部局の創設を命じた。シャンポリオンは、エドム・アントワーヌ・デュラン、ヘンリー・ソルト (en:Henry Salt (Egyptologist))、ベルナルディーノ・ドロヴェッティ (en:Bernardino Drovetti) が収集したコレクションの購入を進言し、これらのコレクションから7,000点あまりのエジプト美術品が所蔵品に加えられた。さらに、エジプト考古学博物館の基礎を作ることになるフランス人考古学者オギュスト・マリエットによって、エジプト美術品の所蔵数は増大していった。マリエットは、エジプトのメンフィスで発掘調査を行い、『書記座像 (en:The Seated Scribe)』などの出土品を、ルーヴル美術館へと送りだした。 エジプト美術品は20以上の展示室で公開されている。美術品のほかに、パピルスの巻物、ミイラ、工具、衣服、宝石、遊戯盤、楽器、武器なども展示されている。古代エジプトの所蔵品では『ゲベル・エル・アラクの短刀 (en:Gebel el-Arak Knife)』『書記坐像』『ジェドエフラー王スフィンクスの頭部』などが有名である。中王国時代の美術品は「金細工と彫像」で知られ、それまでの写実的表現から理想化表現へと移行していった。この様式の好例として、片岩製の『アメンエムハトアンクの彫像』、木製の『供物を運ぶ女性』などがある。新王国時代、初期キリスト教時代では、女神ネフティスの彫像や、女神ハトホルの石灰岩彫刻などが、この時代の様式をよく表している。 『タニスの大スフィンクス』、アメン・ラー神殿旧所在、年代不詳 『蛇王のステラ』、第1王朝、紀元前3000年ごろ 『アメンヘテプ4世』、第18王朝、紀元前1350年ごろ 『ネブケドの死者の書』、第18王朝、紀元前1550 - 1295年ごろ
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