古代の指導者・有力者の神格化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 09:08 UTC 版)
「神 (神道)」の記事における「古代の指導者・有力者の神格化」の解説
日本において古来より一族の先祖や有力者を祖神として祭る「祖霊崇拝」・「エウヘメリズム」があり、日本神話に登場する多くの神々はこれに分類される。即ち皇室の祖である天照大御神、物部氏の祖である邇芸速日命、中臣氏の祖である天児屋命、三輪氏・鴨氏の祖である事代主神、諏訪氏の祖である建御名方神、安曇氏の祖である綿津見神、土師氏の祖である野見宿禰などがある。 意富多多泥古は大国主命の子でありながら人間である「神の子」とされ、大国主命を祭る現在の神主に近い存在だが、大神神社では神として祀られている。同時に大田田根子は三輪君の始祖とされる。 宇佐神宮、石清水八幡宮などに祀られる八幡神は応神天皇(誉田別命)の神霊として、欽明天皇32年(571年)に初めて宇佐の地に顕現したと伝わる。 その他、その時代の有力者や英雄を死後に神として祭る例として桓武天皇、豊臣秀吉=豊国大明神、徳川家康=東照大権現、東郷平八郎、乃木希典などがある。また権力闘争での敗北や逆賊として処刑された者を、後世において「怒りを鎮める」という意味で神として祭る「御霊信仰」の例として菅原道真=天満大自在天神、平将門、崇徳天皇、橘逸勢などがある。 また民間では特定地域を助けた献身行為・殉死から、佐倉惣五郎のように義民を神格化して祭る例もある。 様々な部族が個々に固有の神を信仰していた。それらの部族が交流するにしたがって各部族の神が習合し、それによって変容するようになった。さらに、北方系のシャーマニズムなども影響を与えた。これを「神神習合」と呼ぶ学者もいる。この神神習合が、後に仏教を初めとする他宗教の神々を受け入れる素地となった。[要出典] また人神の一環として、天皇のことを現人神と呼び、神道上の概念としてだけでなく、政治上においても大日本帝国憲法第3条や不敬罪でその神聖を認めていた。現在では、昭和天皇によるいわゆる人間宣言により天皇の意義が再確認され、日本国憲法により地位は象徴になった。だが、神道においては天照大御神の血を引くとされる天皇の存在は現在も大きな位置を占め、信仰活動の上で重要な位置付けを与えられている。
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