反枢軸国シーン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/17 01:33 UTC 版)
「カサブランカ (映画)」の記事における「反枢軸国シーン」の解説
ラブロマンス映画ではあるものの、アメリカも参戦した第二次世界大戦における国際関係と対立を中心に置いて製作された作品であることもあり、上記のようにプロパガンダ的要素がふんだんに含まれている。 作品内ではアメリカの敵国の1つであったドイツとドイツ人を徹底的に悪役として扱っているだけでなく、ドイツ軍に占領されたフランス本土と、北アフリカや仏領インドシナなどのフランスの植民地を統治していた親独政府であったフィリップ・ペタン率いるヴィシー政権を暗に非難しつつ、ヴィシー政権に抵抗していた「自由フランス」を支持する「反独シーン」が多く登場する。 巻頭で対独レジスタンスのフランス人が、ヴィシー政権首班のフィリップ・ペタン元帥の肖像画の前でヴィシー政権の警官に撃たれ倒れるシーン。 リックが「ドイツ銀行の元頭取」と吹聴する男を賭博場に入れさせないシーン。 ドイツ銀行の小切手を受け取らず、破り捨てるシーン。 ラズロに協力を申し出る男が、ラズロの味方である合図として自由フランスのシンボルである「ロレーヌ十字」のついた指輪を見せるシーン。 ドイツの占領下に置かれたブルガリアからの逃亡者である新婚の若い美女とその夫のビザの購入資金を助けるために、リックがルーレットで美女の夫を八百長で勝たせるシーン。 店内でドイツの愛国歌「ラインの守り」を歌うドイツ軍士官たちに憤慨したラズロが、バンドにフランスの国歌である「ラ・マルセイエーズ」を演奏させこれに対抗し、その後店内の全ての客が起立した上で「ラ・マルセイエーズ」を歌うシーン。 ラストシーンで、実は対独レジスタンスのシンパであったことを明らかにしたルノー署長が、ミネラルウォーターに描かれた「ヴィシー水」のラベルを見てゴミ箱に投げ捨てるシーン。 ラストシーンで、ルノー署長がリックに自由フランスの支配地域であるブラザヴィルへの逃亡を薦めるシーン。 ドイツの同盟国のイタリアは、カサブランカ駐在のイタリア軍将校が空港にシュトラッサー少佐を迎えに行くものの相手にされないなど、軽んじて扱われているが、一方カサブランカの市場を仕切っているとされるイタリア人事業家のフェラーリが、リックの潜在的な協力者となるなど軍民で相反する扱いとされ、翌年の降伏を暗示するような扱いとなっている。 枢軸国のもう一方の主要構成国日本は、太平洋や東南アジア、インド洋やアラスカ、オーストラリア戦線が主戦場であり、マダガスカルの戦いが行われたアフリカ東海岸戦線からも遠く離れたカサブランカ(アフリカ西海岸)を舞台にしたこの作品内では扱われていない。 なお、映画の公開直前の1942年11月8日に、イギリス軍とアメリカ軍により、北アフリカのヴィシー政権統治下のフランス領に対する上陸作戦である「トーチ作戦」が開始され、11日にはカサブランカのヴィシー政権軍が降伏し、カサブランカは自由フランスと連合国軍の手に渡っている。
※この「反枢軸国シーン」の解説は、「カサブランカ (映画)」の解説の一部です。
「反枢軸国シーン」を含む「カサブランカ (映画)」の記事については、「カサブランカ (映画)」の概要を参照ください。
- 反枢軸国シーンのページへのリンク