保護原産地呼称
保護原産地呼称(ほごげんさんちこしょう)は欧州連合(EU)統一の原産地名称保護制度における地理的表示のひとつ[1][2]。原産地呼称保護[3]、原産地名称保護[4]とも表記され、AOP(フランス語)、PDO(英語)[5]などと略される。ワインやチーズ、農産物などに対して、土地由来による差別化を認定するための制度のひとつである[2]。指定された地域、製法で生産されることが求められる。若干緩和された「保護地理的表示(IGP, PGI)」という地理的表示認証も存在する[6]。
制度は1992年に制定された[7]。2006年に農産物および食品、2008年にワインの表示制度が規定され[2]、以降も更改され2009年にラベル表示が義務付けられた。それまでは各国で個別の原産地呼称の認証(たとえばフランスのAOCなど)を用いていたが、保護原産地呼称により、統一的に判断できるようになり、かつ偽物対策にもなるとされる[8]。一方、2009年以降もこれまで使用してきた各国別の原産地呼称で代替することも許されている[1][2]。
脚注
- ^ a b 蛯原健介『欧州共同体におけるワインラベル表示規制の改革について』(PDF)明治学院大学、2010年 。2014年9月3日閲覧。
- ^ a b c d “飲み物がわかる辞典 - AOP”. コトバンク. 2014年9月3日閲覧。
- ^ EUの地理的表示(GI)保護制度
- ^ [1]
- ^ “Geographical indications and traditional specialities”. EU. 2014年11月2日閲覧。
- ^ 蛯原健介 2010, p. 109。
- ^ European Commission - PRESS RELEASES - Press release - Commission launches website on applications to register EU quality products
- ^ “AOCとAOPは高品質チーズの証”. フランス観光開発機構. 2014年9月3日閲覧。
関連項目
外部リンク
- Les fromages AOP Appellation d’Origine Protégée (PDF) - AOPチーズのリーフレット日本語版。
原産地呼称制度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/02/22 10:12 UTC 版)
「南アフリカ共和国のワイン」の記事における「原産地呼称制度」の解説
1973年、南アフリカ共和国政府は、EU法に対応する原産地呼称制度のWine of Origin(W.O.)を設置した。その制度の下、原産地は英語で区分される。 Region(リージョン、または地方)と呼ばれる最も大きい原産地区分の中にDistrict(ディストリクト、または地域)があり、その中にWard(ワード、または地区)がある。リージョンに属さないディストリクトやワード、リージョンとディストリクトに属さないワードもある。原産地は順次認定されている。 リージョンは4つあり、Coastal(コースタル)、Breede River Valley(ブレーダ・リヴァー・ヴァレー)、Olifants River(オリファンツ・リヴァー)、Klein Karoo(クライン・カルー)である。 4つのリージョンとその周辺の原産地は西ケープ州に含まれる。いくつかの原産地は北ケープ州にある。その他、クワズール・ナタール州で生産される。 リージョン Coastal(コースタル) ディストリクトは、Stellenbosch(ステレンボッシュ)、Paarl(パール)、Darling(ダーリン)、Swartland(スワートランド)、Tygerberg(タイガーバーグ)、Cape Point(ケープ・ポイント)、Tulbagh(タルバック)。ステレンボッシュは、町にはフォルス湾からの風が入り、丘陵も風が吹く。低地の軽い砂質(砂れき質)は白ブドウに向き、高地の花崗岩質は黒ブドウに向く。山の斜面は重い土質。年間降水量は600mmから800mm。7地区がワード認定を受け、ロバートソンに次いで2番目に多い(2009年現在)。7地区の最初の認定ワードはSimonsberg-Stellenbosch(シモンズバーグ・ステレンボッシュ)。 パールは、気温はやや高く、年間降水量は600mmから900mm。バーグ川流域はユグノーが開拓し、フランス系の地名がある。ワードに認定されているFranschhoek Valley(フランシュック・ヴァレー)はバーグ川流域にある。パールはかつて酒精強化ワインの主要生産地でありまた、KWVの本部があった。パールの酒精強化ワインはBoberg(ボベルク)と呼ばれる。 ダーリンはKWVの規制廃止後にワードのGroenekloof(フルーネクルーフ)でソーヴィニョン・ブランの産地として有望になった。 タルバックはパール同様、酒精強化ワインをボベルクという。 ディストリクトに属さないワードのConstantia(コンスタンシア)は、南アフリカ史上で最も著名なワインの「コンスタンシア」を生産している。1778年にヘンドリック・クルートが造ったデザートワインの「コンスタンシア」は、ヨーロッパの貴族や詩人・文豪らに愛飲された。その伝説の高級ワインの人気は、イギリスとフランスが国交回復をする1861年頃まで続いた。フィロキセラにより一度断絶したが、新たなオーナーの研究によりブドウの品種、製法を再現して1990年からKlein Constantia(クレイン・コンスタンシア)として再び生産を開始した。他に、「フロート・コンスタンシア」もワインを生産している。ワードとしてのコンスタンシアはテーブル山の東側にあり、温暖でフォルス湾から風が吹き、年間降水量は1,000mm。 Breede River Valley(ブレーダ・リヴァー・ヴァレー) ディストリクトは、Robertson(ロバートソン)、Worcester(ウスター)、Breedekloof(ブリーダクルーフ)、Swellendam(スウェレンダム)。ロバートソンは、石灰質の土壌、夏が暑く、年間降水量は300mmから400mm。ディストリクトとしては最多の9地区がワード認定を受けている(2009年現在)。 ウスターは、バルク売りのワインがほとんどで、夏が暑く、年間降水量は250mm。またウスターはブランデーを生産する。 Olifants River(オリファンツ・リヴァー) ディストリクトは、Lutzville Valley(ルツヴィル・ヴァレー)、Citrusdal Mountain(シトラスダル・マウンテン)、Citrusdal Valley(シトラスダル・ヴァレー)。ルツヴィル・ヴァレーは暑く降水量が少ない。 Klein Karoo(クライン・カルー) ディストリクトは、Calitsdorp(カリッツドープ)、Langeberg-Garcia(ランゲンバーク=ガルキア)。 Little Karoo(リトル・カルー)と呼ばれる乾燥した低木地帯は、ダチョウ肉と羽毛、酒精強化ワインが名産。カリッツドープは夏が暑く、年間降水量は200mm以下。甘口のワインが生産される。酒精強化ワインとブランデーの生産もある。 リージョンに属さない原産地 西ケープ州では、ワードのElgin(エルギン)と、ディストリクトのWalker Bay(ウォーカー・ベイ)が注目されている。エルギンはディストリクトのOverberg(オーヴァーバーグ)の中にありまた、リンゴの産地である。 北ケープ州は、ディストリクトのDouglas(ダグラス)などが含まれる。
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