原産地呼称保護 (PDO) と地理的表示保護 (PGI)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 01:10 UTC 版)
「原産地名称保護制度」の記事における「原産地呼称保護 (PDO) と地理的表示保護 (PGI)」の解説
原産地呼称 (designation of origin)とは以下の要件を満たす製品の名前をいう。 特定の場所、地域、あるいは例外的な場合ではあるが、国を原産とすること。 自然や住人の要因を含む固有の地理的環境が製品の質または特性の本質的にあるいは他に見られない要因となっていること。 その生産工程すべてが決められた地理的範囲内で行われること。 なお、原産地呼称は従来のフランスにおけるアペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ (AOC) や1958年のリスボン協定2条で言及している原産地名称 (Appellation of Origin) に相当する。原産地名称 (Appellation of Origin) は一般的に言う地理的表示の一種である。 次に欧州規則No1151/2012で規定する地理的表示 (geographical indication) とは以下の要件を満たす製品の名前を言う。 特定の場所、地域、あるいは例外的な場合ではあるが、特定の国を原産とすること。 その質、評判、特性が本質的に地理的な原産地に理由を見いだせること。 少なくとも一つの生産工程が決められた地理的範囲内で行われること。 欧州規則における原産地呼称と地理的表示の主な違いは製品と地域の結びつきの強さにある。原産地呼称として登録し保護を受けるには、全ての製造工程がそのあ原産地としている地域で行われなければならない。それに対し地理的表示保護を受けるために必要なの要件は、対象の製品の性格の一部が当該地域に原因を見いだすことができ製造工程の一部が特定の地域で行われていることだけである。 以下にあげる条件に当てはまる名称は原産地呼称としても地理的表示としても登録して保護の対象とすることはできない 一般的な単語となっている場合カマンベールチーズはフランスのカマンベールに由来する地理的表示だが保護される前に一般名詞になった。そこで、カマンベール・ド・ノルマンディを登録して、この地理的表示が保護されている。 一般的な単語となっているかどうかの判断はしばしば係争のポイントになる。例えば「パルメザン」は粉チーズのことなのか、パルミジャーノ・レッジャーノ地方のことなのかということについて欧州司法裁判所で二度にわたって争われたが結論はでていない。 動植物の種類の名と間違えやすく、消費者がその動植物が原材料であると勘違いしそうなもの。 実在する地理的な名前であっても、既に登録されていたり、消費者が別の地域で産するものと勘違いするもの同じ地名の場所がそれぞれ別の場所にいくつかあるということは珍しいことではなく、例えば、ウィーンという名前の村がボヘミア-モルダヴィア山地にある。 商標としてすでに登録されて、特定の製品を指すものとして周知されているもの。これは「商標もつ評判や名声、使用されている期間に照らして」判断される。つまり、商標として登録されていても、地理的表示が併存する形で登録されることがありうる。 原産地呼称や地理的表示が保護されている場合は、それらは明細書 (Specification) に適合していなければならず、明細書は以下の項目を含んでいなければならない。 製品の名称 製品の詳細 製品と結びつく地理的領域の範囲 製品がその地域でもたらされることを確かに示すもの 製造や育成の方法 製品の質や特性と地理的環境、または質、評判、特性と原産地の結びつきを実証するもの 製品が明細書の内容と合っていることを確認する機関や団体 ラベルのつけ方についての特別のルール 消費者は、各国政府の監督下にある公の明細書に規定されている質の基準や原産地に適合していることをPDOやPGIのロゴマークが示すということを信頼してよい。商標と比較して、このロゴマークで保証される地理的原産地の表示は経済的な利益と結びついた重要な競争力を意味する。
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