動態復元後の故障や不具合の発生
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「国鉄C57形蒸気機関車180号機」の記事における「動態復元後の故障や不具合の発生」の解説
現役時代、故障の少なかった同機であったが、2003年11月ごろより次第に不具合が目立ち始めた。定期運転を終えた12月の検査で、一部の煙管に亀裂が入っていたことが判明し、やむを得ずこの年の「SL X'masトレイン2003年号」の牽引はD51 498で代行された。煙管に亀裂が発生したのは重油併燃装置のバーナー取付位置の不具合が原因で、2004年(平成16年)の定期運転開始後は同装置の使用を控えることや、汽笛吹鳴を必要最低限かつ吹鳴力を弱めるなど予防策をとられた。同年の定期運転終了後の検査で異常が確認されなかったことにより、「SL X'masトレイン2004年号」には同機が充当され、同時に同装置の使用や汽笛吹鳴における制限が解除された。定期運転中、同機の不具合で運休となったのは担バネ折損による逆転器作動不能による上り列車の運転取り止めがある。2005年(平成17年)の定期運転最終運転日の前日にも動輪軸受の異常発熱により、同じく上り列車の運転取り止めがあった。これらの運転中の不具合は会津若松運輸区で修繕後に夜間、単機で新津駅へ回送されている。その後も微細な故障は見受けられたが営業運行に支障を及ぼす事態は少なかったが、2013年(平成25年)に入って営業運行に支障の出る故障が頻発することになる。その内の前半期は蒸気漏れによるものだが、10月13日の「SLばんえつ物語」復路牽引中からシリンダーの不具合による排気不良が発生。同日夜に緊急点検を行ったが、異常なしと判断され、翌10月14日に運転を続行したものの新潟駅出発時より異常な排気音が確認され、その後も野沢駅などで臨時点検を実施、会津若松駅には20分遅れでの到着だった。会津若松運輸区での点検でようやく原因が判明し、当機はその場で火を落とされて運転を打ち切った。同列車は同日復路よりDE10形による臨時快速に切り替え、その後10月いっぱいはDL牽引の臨時快速列車として運行されている。この年の当機の故障による度重なるSLからDLへの牽引機変更は復活後初めての出来事であり、のちの当機の存続や故障時の牽引機の在り方などが話題となった。翌2014年(平成26年)も不具合が度重なり、DL牽引の臨時快速列車が運行される日が引き続き発生した。 2014年(平成26年)10月より、復活後2回目となる全般検査施工のため、「SLばんえつ物語」は同9月28日で2014年度の定期運行を終了した。3日後、新津から大宮総合車両センターへ回送され、全般検査を施工。上記のとおり、2013年度より多数の故障や不具合により運行に難が生じてきている当機の整備状態が非常に悪化していたため、予定以上に大幅な修繕整備を行う必要が発生し、2015年度の運転開始は夏季の7月18日からとなった。上記で発生していた重要部品の不具合はほぼ改善されたが、引き換えに周辺機器の不具合による運休や運転打ち切りが数日程度発生した(ATS発電機や逆転機など)。その後、2018年(平成30年)7月には、炭水車の一部車輪の車軸留め具に脱落の危険性を伴う不具合が発生した。この不具合に至った経緯が特定できなかったため、止むを得ず安全のため炭水車の全車輪を一体圧延型車輪に新規交換した。その新規交換と同年秋から予定されていた中間検査B施工の時期を勘案し、同年の運行は不具合発覚直前の7月8日を最後に終了宣言が下された。その後は臨時快速列車を経て、同8月18日よりDE10形牽引による「DLばんえつ物語」等が翌年2019年(令和元年)7月15日まで隔日で運行されるに至った。そして、1年余りの空白を経て2019年(令和元年)7月27日、運行開始20周年の記念イベントと共に運用復帰した。
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