分子振動とは? わかりやすく解説

振動準位

(分子振動 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 04:39 UTC 版)

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振動準位(しんどうじゅんい)は分子重心の移動を伴わず、の相対的な位置の変位にともなう運動を表す量子状態である。分子内において核は、結合する隣接核と結合エネルギーに相当するポテンシャルの井戸を形成し、お互いばねで結ばれた様な状態にあるために、上記のような運動は振動運動によって記述される(詳細は以下の章を参照)。振動準位間の遷移振動遷移(しんどうせんい)と呼ばれ、主に赤外分光法またはラマン分光法によって観測される。

二原子分子の調和振動

古典論

エネルギー準位E3で非調和振動するHCl分子。D0結合解離エネルギー、r0結合長、Uはポテンシャルエネルギー曲線。エネルギーは波数で表してある。塩化水素分子は、結合長が曲線上で変化することを示すために、座標系に固定されてある。

二原子分子において2つの原子核の運動をばねによって結ばれた2つの粒子の調和振動子で近似する。2つの原子核が一直線上の位置 x1, x2 にあるとすると、フックの法則からそれぞれの核にはたらく力は

逆対称面内変角
横揺れ(Rocking) 対称面外変角
縦揺れ(Wagging) 逆対称面外変角
ひねり(Twisting)

N原子分子

N個の原子からなる多原子分子では3N-6(直線分子では3N-5)個の基準振動が存在する。これらの基準振動の振動数を、・・・、対応する振動量子数を、・・・とすると、分子の振動準位のエネルギーは

で表される。ここでは非調和定数である。これらの準位間の遷移によって振動スペクトルが生じる。この場合、基準振動によって双極子モーメントが変化すれば赤外スペクトルとして、また分極率が変化すればラマンスペクトルとして観測される。

関連項目



分子振動

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/13 09:57 UTC 版)

液体」の記事における「分子振動」の解説

E.N. Andrade は、液体における構造変換(無拡散変態)の機構研究した。彼は固体液体分子間力極めて近いとし、リンデマン融解則を引用した。それは、単純固体における固有振動原子振動周波数正確な値を求めることに成功している。リンデマン原子振動振幅原子間距離のある割合に達したときに融解が始まるとした。 したがって液体固体基本的な違い分子間力大きさではなく分子振動振幅ということになる。液相では分子振動極めて大きく分子同士衝突することも珍しくない結果として固体では固定されていた「平衡位置」が液体ではゆっくりと変化していき一定しない分子振動周波数液体固体で同じである。 Frenkel はまた、硬い弾性ネットワークにおける原子静的平衡位置について熱運動力学考慮した結晶硬さは、原子不変平衡位置占めているために熱運動が小振幅振動にしかならないことによる一方液体では原子恒久的な平衡位置占めことはないため流動性生じる。原子または分子振動周期適用され外力時間的尺度くらべて大きいとき、弾性変形起きる。逆に振動周期小さ場合不可逆塑性変形起きる。 融点付近の単純液体および固体高周波力学研究において、振動周波数ゼロとなる条件を「熱力学的極限」 (υ → 0) と呼ぶ。融点付近での非弾性光散乱研究では、十分に高い周波数振動スペクトル液体固体識別可能な差異が全く見られない。つまり、十分に短くかつ小さ範囲では、融解起きて物質力学においては断続的な変化が全く起きない周波数が低いほど、液体固体振る舞い差異大きくなる

※この「分子振動」の解説は、「液体」の解説の一部です。
「分子振動」を含む「液体」の記事については、「液体」の概要を参照ください。

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