分子度と反応次数の違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/01/31 11:40 UTC 版)
分子度と反応次数を区別することは非常に重要である。反応次数は反応速度式から実験的に決められた量であり、速度式の指数の合計である。一方分子度は、素反応の反応機構から導かれるものであり、素反応についての議論でしか登場しない。これは反応に関与する分子の数である。 この違いを明らかにするために、一酸化窒素と水素の反応を示す。 2 NO + 2 H 2 ⟶ N 2 + 2 H 2 O {\displaystyle {\ce {{2NO}+ 2H2 -> {N2}+ 2H2O}}} . 観測された反応速度式は v = k [ NO ] 2 [ H 2 ] {\displaystyle v=k{\ce {[NO]^2[H2]}}} であるから、この反応は3次反応である。反応次数は反応物の化学量論係数の合計と等しくないから、この反応は多段階反応である。提案されている2段階の反応機構は以下の通りである。 2 NO + H 2 ⟶ N 2 + H 2 O 2 {\displaystyle {\ce {{2NO}+ H2 -> {N2}+ H2O2}}} H 2 O 2 + H 2 ⟶ 2 H 2 O {\displaystyle {\ce {{H2O2}+ H2 -> 2H2O}}} 一方、この反応では分子度は定義されない。なぜならこれは多段階反応だからである。しかし、それぞれの素反応について分子度を考えることはできる。1つ目の反応は、3つの分子が反応に関与しているため3分子反応、2つ目の反応は2つの分子が反応に関与しているため2分子反応である。
※この「分子度と反応次数の違い」の解説は、「分子度」の解説の一部です。
「分子度と反応次数の違い」を含む「分子度」の記事については、「分子度」の概要を参照ください。
- 分子度と反応次数の違いのページへのリンク