光音響分光とは? わかりやすく解説

光音響分光

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/14 22:12 UTC 版)

光音響分光(ひかりおんきょうぶんこう、英語:photoacoustic spectroscopy、PAS)とは、光音響効果を用いた分光法のことである。

原理

典型的なガス分析用の光音響分光器

光音響効果とは、光エネルギーを吸収した分子が熱を放出し、その熱による体積膨張により音響波疎密波)を発生する現象のことである[1]。 サンプルにモノクロメーターチョッパーを介して、周期的に断続したパルス状の単色光を照射する。入射光の周波数が音響域の場合は、音響波が発生する。その音響波をマイクロフォン圧電素子)などにより検出する[1]

使用例

光音響分光によって、無放射緩和過程について詳細に調べることができる。たとえば速い無放射緩和過程の割合(量子収率)が大きければ、それだけ信号も大きくなる。信号の遅れからデコンボリューション解析などを用いれば、無放射緩和速度を求めることもできる[1]

光音響分光では固体サンプルや懸濁液サンプルの光吸収スペクトルを得ることができる。光音響分光では、光散乱反射は妨害とならないためである[2][3]

脚注

  1. ^ a b c 澤田嗣郎 (1982). . "光音響分光法とその応用− PAS. 学会 出版センター 
  2. ^ 中村崇; 植田安昭 (1986). “光学的塩基度の新しい展開” (PDF). 日本金属学会誌 50 (5): 456-461. https://doi.org/10.2320/jinstmet1952.50.5_456. 
  3. ^ 佐藤正壽, et al. "W/O エマルションの状態変化の光音響的手法による評価." 表面技術 45.9 (1994): 934-937., doi:10.4139/sfj.45.934

参考文献

関連項目


光音響分光

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 06:57 UTC 版)

分光法」の記事における「光音響分光」の解説

光音響分光法などの光熱分光法では、試料に光を照射したときに試料がそのエネルギー吸収し励起状態になりそこから光を放出せず緩和して熱を発生することによって起こる物理現象測定する測定される物理現象としては、光を断続的に照射したときに生じ振動や、試料熱膨張などによって生じ屈折率変化などがある。吸収測定する手法一種見なすともできる

※この「光音響分光」の解説は、「分光法」の解説の一部です。
「光音響分光」を含む「分光法」の記事については、「分光法」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「光音響分光」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「光音響分光」の関連用語

光音響分光のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



光音響分光のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの光音響分光 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの分光法 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS