エル=サイエド則
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/17 04:41 UTC 版)
「モスタファ・エル=サイエド」の記事における「エル=サイエド則」の解説
項間交差(ISC)は、異なる多重度を有する2つの電子状態間の等エネルギー的無輻射遷移を含む光物理学的過程である。ISCはしばしば、より低い電子状態にある振動的に励起された分子実体をもたらし、これは次にその最低分子振動準位に減衰する。ISCは角運動量の保存則によって禁制である。結果として、ISCは一般的に非常に長い時間スケールで起こる。しかしながら、エル=サイエドの規則は、項間交差(例えば最低一重項状態から三重項多様体へ)の速度は、もし無輻射遷移が分子軌道の種類の変化を含むならば比較的大きい、と述べる。例えば、(π,π*) 一重項状態は (n,π*) 三重項状態へと遷移できるが、(π,π*) 三重項状態へは出来ず、逆もまた同様である。1960年代にエル=サイエドによって定式化されたこの規則は多くの光化学の教科書に書かれており、分子におけるリン光、振動緩和、項間交差、内部転換、および励起状態の寿命を理解するうえで有用である。
※この「エル=サイエド則」の解説は、「モスタファ・エル=サイエド」の解説の一部です。
「エル=サイエド則」を含む「モスタファ・エル=サイエド」の記事については、「モスタファ・エル=サイエド」の概要を参照ください。
- エル=サイエド則のページへのリンク