分化多能性 (pluripotency)
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多能性(英: pluripotency; ラテン語 「plurimus "非常に多い"+ posse "能力"」、分化万能性とも)は、三胚葉(内胚葉(胃の内膜、消化管、肺)、中胚葉(筋肉、骨、血液、泌尿生殖器)、および外胚葉(表皮組織および神経系))のどの系統にも分化できる能力である。多能性幹細胞はあらゆる細胞運命や成熟細胞型を生じることができる。一つの個体とはならないという点で全能性と区別する。 哺乳類においては、胚盤胞の内部細胞塊がこの能力を持つ。この能力は3つの転写因子 (Oct4、Sox2(英語版)、Nanog(英語版))が中心となって維持される。内部細胞塊では、全能性を有する段階の細胞では互いに抑制していたOct4とCdx2(英語版)のうちCdx2の転写が、周囲の細胞からのHippo経路によるYap(英語版)のリン酸化を通して阻止されることにより全能性を失う。
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分化多能性 (multipotency)
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詳細は「前駆細胞」を参照 多能性(または複能性、multipotency)は、複数のしかし限定的な数の系統の細胞へと分化できる能力である。このような細胞を多能性前駆細胞 (multipotent progenitor cell) という。多能性幹細胞の例は造血細胞である。この血液幹細胞は、いくつかの型の血液細胞へと成長することができるが脳細胞や他の型の細胞へは成長できない。一連の細胞分裂の最後に、胚を形成するのは最終分化した細胞、または恒久的に特定の機能を担うようになった細胞である。 分化した細胞はその特化された細胞機能以外を担うことはできないと考えられてきた。しかしながら、近年の研究ではその考えに疑問が投げかけられている。近年の幹細胞の実験では、血液幹細胞を神経や脳細胞のように振る舞わせることができる。これは分化転換として知られている。このような幹細胞の性質の研究は、生体に関する重要な情報をもたらす。また、多能性 (multipotent) 細胞を多能性 (pluripotent) 細胞へ変質させる研究も続けられている。 人工多能性を持つように誘導された体細胞である未分化のiPS細胞は、生殖細胞を用いるES細胞の倫理的な議論を解決するものとして当初は賞賛されていた。しかしながら、iPS細胞は、非常に発癌性が高く、アメリカでは未だ臨床応用が承認されていない。最近の研究で、体細胞におけるある組み合わせの転写因子の発現は他の確定した体細胞運命を直接誘導することが示された。研究者たちはマウスの線維芽細胞(皮膚細胞)を完全に機能的な神経へと直接変換することができる三つの神経系統特異的な発現因子を同定した。この結果は細胞分化に終点があり細胞系統は変えることができないという性質を覆すものである。そして、適切な方法を用いることで、すべての細胞は全能性を持ち、すべての組織を形成できうることを示唆している。 間葉幹細胞の非常に豊富な原材料は発達途上の下顎の親知らずの歯芽である。幹細胞は最終的にエナメル質(外胚葉)、象牙質、歯髄、血管、および神経組織など少なくとも29の異なる末端器官を形成することができる[要出典]。石灰化し稼働性が失われる前の8–10歳児の収集の極端な容易さのため、個人バンク、研究および複数の治療法の主要な素材となるであろう。これらの幹細胞は肝細胞を生成する能力を示している[要出典]。
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