典型的なポンチキ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 23:12 UTC 版)
ポンチェックは平たい球形にした生地の中にコンフィチュールあるいはその他の甘いフィリングを詰め、揚げたもの。少量のお酒(伝統的にはスピリタス)を生地に加える。揚げるときに生地に混ぜたアルコール分が蒸発することで、油が生地の奥に浸入するのを防ぐ。 ポンチキの見た目はベルリーナー・プファンクーヘン(米国で一般的に「ジェリー・ドーナツ」、英国やオーストラリアで「ジャムドーナツ」と呼ばれるもの)と一見よく似ているが、ポンチキの場合は鶏卵、油脂、砂糖、牛乳などを加えた、かなりリッチな生地を使用するため味や食感がベルリーナーとは大幅に異なる上、近くで見ると生地の見かけの質感もはっきりと異なる。米国においてポンチキとジェリー・ドーナツ(ベルリーナー)の両方が定着している地方(中西部やニューヨークなど)では両者を別個のお菓子と捉えている。 ポンチキのなかには様々なフルーツやクリームのフィリングが中に入っている。また、グレーズされていたり、グラニュー糖やパウダーシュガーをかけてあったりする。上面の中心にリキュールやウォッカに漬けたオレンジピールの小片や塩漬けの花などが乗っていたりすることもあり、こういうポンチキは日本のあんぱんを揚げたようにさえ見える。 ワイルドローズの花びらのグラッセ、ワイルドローズヒップのジャム、ポヴィドワ(ポーランド伝統の、煮詰めたプルーン)がポーランドにおける伝統的なフィリング。しかし、アプリコット、ストロベリー、ババロア、ブルーベリー、カスタード、ラズベリー、アップルなどといった、他のフィリングも使われることがあるが稀。日本のあんぱんがフィリングを注入するか、あるいは生地を丸め込むように詰めてしまうのに対し、ポンチキは上面になる生地と下面になる生地の2つでフィリングを挟み込み、餃子(ポーランドではピエロギ)の要領で接着部分を指ないし専用の器具で潰して上下の面を接着することが多く、独特の「耳」のある形状はそのためである。ただし、ポンチキの横から棒状の器具で横から穴をあけ、ケーキに使うような口金つきの押し出し袋を用いてフィリングを注入する製法もある。 ポンチキは遅くとも中世には既に知られていた。古い時代のポンチキには名称を除いてベルリーナー・プファンクーヘンとの明確な相違は見いだせない。18世紀に活躍した歴史学者イェンジェイ・キトヴィチは、アウグスト3世王の治世にフランスからやってきた料理人たちがポンチキの生地を、より軽く、よりふわふわとし、よりモチモチとしたものへと改良した、と記している。 ひと口サイズのポンチキは「ポンチューシェ」(pączusie)と呼ばれる。「ポンチューシェ」は「小さいポンチキ」を表すため、「小さいつぼみちゃんたち」の意味になる。形も大きさも様々なものを混ぜて店頭に出され、1個売りでなく、1キログラムいくらで量り売りされていることが多い。
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