六甲山の天然水と宮水
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 05:08 UTC 版)
六甲山は花崗岩が主体の山塊であり、山に降った雨が長い年月をかけて浸透し、濾過された水が伏流水として地下を流れる多くの地下水脈があり、市街地などの一部でミネラル分の多い湧水として採取も可能である。また、川となって生田川の源流ともなる布引渓流は名水百選にも選定されており、一日あたり数千 - 数万トンの河川流量を有する天然のミネラルウオーターとして昔から重宝されてきており、その水を水道水として確保するために1900年(明治33年)に完成した布引五本松ダム(国の重要文化財)から神戸港に停泊する船舶に送られる六甲山の水は「赤道を越えても腐らない水」として寄航する世界の船舶関係者から称賛され、「コウベウオーター」(KOBE WATER)の名で知られた。また1983年(昭和58年)にはハウス食品から灘区の採水場の水源を用いた「六甲のおいしい水」の商品化も図られ、六甲山の水のおいしさを世に知らしめることになった。以前には新神戸トンネル内での湧水を汲み取ることが可能だったが後に廃止されており、布引渓流でも直接湧水を汲める場所はない。現在では水の採水場所は限られており、有料の採水所などがいくつか市街地に存在する。なお、神戸市で用いられる水道水の一部には六甲山を水源とする布引五本松ダムや住吉川の水が使用されているが、ブレンドされた水であり、大半は淀川からの水である。(詳細は神戸水道#現在を参照) また、西宮市から湧出する宮水は日本酒造りに適しており江戸時代後期頃からその存在が知られている。日本一の酒造業地帯である灘五郷の酒造りには欠かせない名水として知られ、多くの酒造会社の井戸がある。宮水は硬度が高く、リン含有量が高く、鉄分が少ないという特徴があり、西宮から神戸市灘区の酒造地帯では六甲山からの寒風の吹き降ろし六甲颪と三木市などで生産される山田錦とあわせおいしい日本酒造りには欠かせない最適な水とされている。(詳細は宮水を参照)さらに、夙川・芦屋川・住吉川・都賀川・生田川などの河川の急流を活用した水車による精米技術を早くから取り入れたことで大変酒質が向上し、灘の酒の大量生産が可能になったのも地の利を生かした六甲山の恩恵のひとつである。
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