先駆けと発展
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/05 15:00 UTC 版)
1980年代後半、ローランドから発売されたミュージくん(1988年)をはじめ、ローランドMT-32やSC-55等により、プロでなくともコンピュータミュージックを制作できる土壌が拡大。やがてそれらの愛好家たちは、オフラインあるいはニフティサーブ等のパソコン通信においてコミュニティを形成し、既存・自作曲のMIDIデータを仲間内でやり取りするという、同人音楽の原点ともいえる活動が始まっていった。また、同人誌即売会においてもフロッピーディスク等によるMIDIデータの頒布を行うサークルは存在したが、MIDIデータの本格的な再生には高価な専用音源が必要であり、更に再生環境によっては必ずしもデータ製作者の意図通りに再生されない可能性もあったことから、当時はほぼ"聴き手=作り手"の図式が成立していた。 こうした状況を一変させたのが、インターネットの普及と急速な発展である。1990年代中盤より、インターネット上では自作のMIDIファイルを公開する個人サイトが増殖し、それらを普及させるための投稿・検索サイトもまた発展していった。音源の面でも、ヤマハ・ローランド等のメーカーが自社サイト上で配布したソフトウェア音源が手軽に一定水準のMIDI再生環境を入手できる手段として人気を集め、動画(音楽)投稿・検索サイトの利用と相俟って、新たに「鑑賞専門」のユーザー層を成立させるに至った。 しかしながら、当時のソフトウェア音源はハードウェア音源と比較して再生能力で大きく劣っており、MIDIデータが製作者の意図通りに再生されない可能性は未だに残されていた。この問題は、1990年代後半より普及したMP3やWMA等の圧縮音声技術による録音ファイルの配布によって一応の解決を見るが、その一方で「作者の意図通り(またはそれ以上)の音源による演奏をCDに録音して頒布する」という手段も同時期のCD個人製作環境の低廉化によって次第に普及していき、これが今日流通している「同人CD」の源流の一つとなった。
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