個別企業への影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/06/18 03:13 UTC 版)
2007年(平成19年)が注目された理由は、定年を60歳とすれば、1947年(昭和22年)生まれを中心とした団塊の世代の退職者が最も多く発生するのが2007年といわれたからである。 この問題の発端は、金融機関等企業の根幹業務を支えるメインフレームコンピュータの保守を団塊の世代が主に行なっているため、定年退職後保守を行える技能を持つ人間が企業に存在しなくなり、業務がとどこおって経済に重大な悪影響が出るのではないかという懸念から生じたものである。 しかしこれは上記に限ったものでないことが明らかになるにつれ、他分野においても、マニュアル化しづらい現場固有の技術の継承が困難になる恐れのみならず、それによって企業活動自体が停滞する恐れがあると認識されるようになった。特に製造業では職人的作業や機械化が困難な作業の多い企業において危機感が強かった。 しかし考えようによっては定年に達し、しかも意欲と技能を兼ね備えた有用な人材を、嘱託等の現役時より低い処遇(企業にとっては有利な処遇)で使える、しかも雇用の継続の実質的な選択権は、企業側が握ることができるという見方をとれば、企業にとってはチャンスである。 2007年問題への対策は各企業により異なるが、代表的なものとして、 雇用期間の延長 他企業等の退職者の獲得 会社内部での技能伝承の制度化 技能者枠での新卒採用拡大 などが行なわれた。 非正規雇用者の正規雇用化など、就職氷河期世代を救済するチャンスという見方もあるが、ほとんどの企業は従来通り新卒者の採用、さらには定年退職者の再雇用で補っているため、救済にはつながりにくいという見方もある。氷河期世代は既に卒業後相当の年数が経っており、使いにくいと言われてしまうことが多く、契約社員やアルバイトの正社員化にも消極的な企業が少なくない。反面2007-2009年の間の新卒者は、楽に就職できるため、企業とのミスマッチが生じやすく、早期に離職する者が増加すると懸念されている。 またこの機に乗じて、元々正規雇用であった団塊の世代をパートタイムの再雇用に切り替えたり、非正規雇用の若年者に置き換え賃金削減を行なったりする企業も増えており、需要不足により経済に悪影響を及ぼすと懸念されている。
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