伝統音楽・歌謡
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「コルシカ島の民族音楽」の記事における「伝統音楽・歌謡」の解説
牧羊社会であるコルシカ島では島民が古くから声を掛け合う習慣があり、それらと11世紀からのピサ共和国統治下で導入された聖歌や賛美歌があわさってさまざまな形態の歌謡や合唱が形成された。これらは、1960年代まで残るが、それ以降は急速に廃れる。主な分類は下記の通り。 カンティ・ボブラーリ(canti populari) - 俗歌・民衆歌 パディエッラ - 「パジェッラ」とも表記される。即興で歌われる3連6句形式の押韻、定型歌。句の一つは8音節からなり、各連後半(すなわち、2句、4句、6句)の最後の音節で押韻(同じ母音の使用)する。三声合唱。それぞれの声は、ウ・ワッス(U bassu 最も低い声)、ア・ゼグンダ(A secunda, コルシカ島南部ではア・シクンダA sicunda、中間の高さ)、ア・デルツァ(A terza、最も高い声)と呼ばれる。パディエッラを歌い上げるのは非常に難しいとされるが、歌のテーマは教会、宗教、聖人などを除く世俗世界のあらゆるものが対象。ユネスコ無形文化遺産に登録されているパディエッラ風の歌謡は、かつて即興で歌われたパディエッラの中で人々の記憶に残って現在まで歌い継がれたものであり、厳密に言えば即興歌ではない。コルシカ語で歌われる。男性歌。 テルツェッティ(terzetti) - パディエッラ同様、即興の定型歌。11音節を句とする3句からなり、各句押韻する。三声合唱。テーマはパディエッラに同じ。コルシカ語で歌われる。男性歌。 ボヂェル(voceru) - 女性が歌う弔歌。イタリアではヴォチェロ(vocero)と呼ばれる。夫や家族、恋人などが死んだ時にその遺体の前で悲しみをさらけ出しながら歌う。8音節6句からなる定型・押韻の即興歌。単声。 ラメントゥ(lamentu) - 哀歌。男女ともに歌う単声・定型・押韻の即興歌。ヨーロッパ大陸ではラメント(lamento)と呼ばれる。 クンチュラシュティ(cuntrasti) - 男女二人組の間で交わされる恋歌。クンチュラシュトゥとも。散文歌。 ティヤマ・エー・リスポンディ(chjama è rispondi) - 複数の男性によって交互に歌われる一種のゲーム。最初の歌い手があるテーマを題材に歌い、次の歌い手がそれに引っ掛けた内容を歌い続ける。これを永遠に繰り返し、歌えなくなった者が負けとなる。祭りや酒場で嗜まれる。 上記以外にシリナーダ(sirinata、恋歌)、ナンナ(nanna、子守唄)、選挙歌(canti d'elezione、男性は選挙の際に村から投票所まで隊列を組み行進しながら歌い、それを見送る女性も別の歌を歌う)、チュリッビエラ(tribbiera、労働の辛さを紛らわすための歌)などがある。 カンティ・ディエザーディ(canti chjesati)教会歌・宗教歌 ディオ・ヴィ・サルヴィ・レジナ(Dio vi salvi, Regina) 「神が汝を救い給う、女王(=マリア)よ」という意味。コルシカ独立戦争(1729-1769)時代にコルシカ国歌に制定された歌。男声三声合唱。今でもコルシカ島では良く歌われる。7音節または8音節を1句とし、4句7連の定型・押韻歌。ただし一般に歌われる場合は3連に縮めることが多い。もとはトスカーナ語の歌詞だったが、コルシカ語版(Diu vi salvi, Regina)もある。 以下はコルシカ島以外でも歌われるもので、歌詞はラテン語。 キリエ(キリエ・エレイソン Kyrie Eleison) サンクトゥス(Sanctus)
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