伊東俊太郎「精神革命」
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科学史家で比較文明学者の伊東俊太郎は、その著『文明の誕生』のなかで、人類のあゆみを「人類革命」(約600万年前)、「農業革命」(約1万年前)、「都市革命」(紀元前3500年頃-紀元前1500年頃)、「精神革命」(紀元前6世紀-後1世紀)、「科学革命」(17世紀以降)の5段階を経て発展したものとし、このうち国家組織および階級の成立、文字の発明や商業の発達に焦点をあてて「都市革命」について論述している。 近年、伊東は「科学革命」の第2期、第3期としてそれぞれ「産業革命」(18世紀後半)と「情報革命」(20世紀後半)をあて、これら科学革命を経て今日に至り、現代は人類にとって第6の転換期である「環境革命」の時代を迎えていると主張している。 伊東の唱える「精神革命」(Spiritual Revolution)は、時期区分や定義のうえで若干の相違はみられるものの、その意義と歴史的位置づけはヤスパースの提唱する「枢軸時代」とほぼ重なっている。伊東は、「精神革命」のプロセスと内容を下表のようにまとめ、そこにおける「文化の多様化」を重視している。 精神革命のプロセス中国インドギリシャイスラエル1.始原 書経(尚書) ヴェーダ ホメロス 旧約聖書 2.多様化 諸子百家 ウパニシャッド・六師外道 ソクラテス以前の哲学者 預言者たち 3.師祖 孔子 ゴータマ・シッダールタ ソクラテス イエス・キリスト 4.祖述 孟子 マハーカーシャパ プラトン パウロ 5.世界国家 漢帝国(武帝) マウリヤ朝(アショーカ王) ヘレニズム王朝(アレクサンドロス3世) ローマ帝国(テオドシウス帝) 精神革命の内容 対象 目的 方法 道道徳的実践直感的 ダルマ瞑想的解脱思弁的 イデア観想的認識理論的 律法宗教的救済啓示的 なお、伊東は中国の仏教化、ヨーロッパのキリスト教化、イスラームの勃興という3つの動きを総称して「第2次精神革命」と呼んでいる。
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