亀尾フッ酸ガス漏出事故
別名:亀尾市フッ酸ガス漏れ事故、亀尾フッ酸ガス漏れ事故、亀尾フッ化水素酸漏出事故、亀尾フッ酸漏出事故
韓国慶尚北道亀尾市にある工業団地付近で2012年9月27日に発生した事故。劇物のフッ化水素酸(フッ酸)が漏れ出し、工業団地とその近隣一帯が災害を受けた。
亀尾市は韓国でも有数の工業都市として知られる。亀尾フッ酸ガス漏出事故は第4工業団地で発生した。タンクローリーで運ばれてきたフッ酸を貯蔵タンクに移す作業中、ホースをつけずにバルブを開いたため、高圧でフッ酸が噴出したのだという。
フッ酸は無色の液体で、金属やガラスを腐食させる性質などがよく知られている。人体に対する毒性はきわめて高く、少量でも重度の化学火傷、失明、内臓の機能不全、および、死の危険がある。大気中に拡散したフッ酸を吸い込むと、咳、喉の痛み、胸焼け、頭痛、下痢、だるさ、吐き気などの症状を呈する。
亀尾フッ酸ガス漏出事故の現場でフッ酸をタンクに移しかえていた作業員は、フッ酸に曝され、まもなく死亡している。フッ酸ガスは現場周辺地域に広がり、工業団地に勤務する多くの労働者と近隣の住宅地へ拡散した。
10月23日付けの朝鮮日報記事によれば、事故発生から10月23日までの間に、工業団地勤務者と近隣住民、合わせて1万1000人以上が、皮膚や呼吸器の異常を訴えて病院で診療を受けたという。この時点で死者は合計5名に上っている。
事故現場周辺の亀尾市山東面鳳山里の一帯は、10月8日に「特別災難地域」に指定され、政府主導による支援・救済措置の対象となった。周辺の農地で栽培されていた農作物からは高濃度のフッ酸が検出され、全て廃棄される見通しであるという。
関連サイト:
フッ酸漏えいの亀尾地域、特別災難地域に指定 - 東亜日報 2012年10月9日
フッ酸ガス漏れ工場、3年前にも事故=韓国 - 中央日報 2012年10月11日
フッ酸ガス事故:被害者の医療費、政府が全額負担へ - 朝鮮日報 2012年10月23日
亀尾フッ化水素酸漏出事故
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/22 06:59 UTC 版)
亀尾フッ化水素酸漏出事故 | |
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各種表記 | |
ハングル: | 2012년 구미 가스 누출 사고 |
漢字: | 2012年龜尾가스漏出事故 |
発音: | イチョンシビニョン クミ カス ヌチュル サゴ |
日本語読み: | にせんじゅうにねん きび がす ろうしゅつ じこ |
RR式: | Icheonsibi-nyeon gumi gaseu nuchul sago |
MR式: | Ich'ŏnsibi-nyŏn kumi kasŭ nuch'ul sago |
亀尾フッ化水素酸漏出事故(クミ フッかすいそさんろうしゅつじこ)は、2012年に大韓民国・慶尚北道亀尾市の化学工場で発生した、強い毒性と腐食性を持つ液体フッ化水素酸の漏出事故である。
作業員ら5人が死亡、住民ら四千人あまりが健康被害を受けた。
被害
2012年9月27日午後3時41分頃[1]、慶尚北道亀尾市の亀尾第4工業団地にある化学メーカー「ヒューブグローバル」の工場で、フッ化水素酸20トンを積載したタンクローリーから貯蔵タンクに移送する作業中に[2]、約8トン[3]のフッ化水素酸が漏出した。
この事故で、同社の作業員4人とポンプの修理工の計5人が死亡[4]。消防隊員など18人が重傷を負い[5]、10月8日までに周辺住民など4195人が診察を受けた[6]。症状を訴えた中には、現場から1.5Km離れた住民も含まれる[7]。
10月5日までの調べでは、農地の被害は135ヘクタール、家畜への被害2738頭。腐食した自動車は516台に上った[7]。
韓国政府は、10月8日に現場周辺の亀尾市山東面鳳山里一帯を「特別災難地域」に指定し、復旧費用の一部を支援することを決めた[2]。
原因と対応
警察による監視カメラの解析では、タンクローリーに原料ホース・エアホースの双方とも接続されていない状態でバルブが開かれていたことが明らかになった。
この原因として、ホースを接続する作業員がバランスを崩したためにバルブが開かれたと推定されている。また、作業員は備え付けの化学防護服やガスマスクを着用していなかった[6]。
消防隊員もフッ化水素酸に対応した保護具を着用せず、中和剤の散布は翌日まで行えなかった[5]。
毒物の除去が完了しないうちに危機警報レベルを引き下げ、避難住民を帰宅させた政府の対応の不備も指摘されている[7]。
ヒューブグローバル
ヒューブグローバルは韓国と中華人民共和国の合弁企業で、医薬品・化粧品や電子部品などの原料を製造していた。本社はソウル特別市[5]。
同工場は2008年9月に操業を開始し、フッ化水素酸のほかリン酸、硫酸、グリセリンなどを生産していた。敷地面積4060m2で、年間生産量は約9000トン[4]。
2009年6月にもフッ化水素酸50%液の噴出事故で作業員が薬傷を負っている[8]。
亀尾第4工業団地はハイテク産業を誘致するために開発されたが、2008年に立地規制を緩和し他の業種の進出も可能とした[5]。
脚注
- ^ 早稲田大学災害情報データベース
- ^ a b “フッ酸漏出事故の亀尾鳳山里を「特別災難地域」に=韓国”. 中央日報日本語版. (2012年10月9日) 2013年10月17日閲覧。
- ^ “韓国で大規模なフッ化水素酸漏れ、近隣住民が避難”. AFP BB (2012年10月7日). 2013年10月18日閲覧。
- ^ a b “Gas leak at chemical plant kills 5, injures 18” (English). Korea JoongAng Daily. (2012年9月12日) 2013年10月18日閲覧。
- ^ a b c d “Questions remain after huge hydrofluoric acid leak” (English). RSCジャーナル (2012年11月8日). 2013年10月18日閲覧。
- ^ a b “フッ酸ガス事故当時の映像を公開…過失が招いた惨事=韓国”. 中央日報日本語版. (2012年10月11日) 2013年10月17日閲覧。
- ^ a b c “フッ酸被害拡散、患者1500人超える…韓国・亀尾”. 中央日報日本語版. (2012年10月6日) 2013年10月17日閲覧。
- ^ “フッ酸ガス漏れ工場、3年前にも事故=韓国”. 中央日報日本語版. (2012年10月11日) 2013年10月17日閲覧。
外部リンク
- ヒューブグローバル(朝鮮語)(中国語)(英語)
- 朝鮮放送によるニュース映像 - YouTube
亀尾フッ化水素酸漏出事故
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 09:58 UTC 版)
「フッ化水素」の記事における「亀尾フッ化水素酸漏出事故」の解説
詳細は「亀尾フッ化水素酸漏出事故」を参照 2012年9月27日、韓国の慶尚北道亀尾市にある工場でフッ酸が漏出する事故が起こり、作業員ら5人が死亡、住民4千人あまりが健康被害を受けた。韓国政府は、同年10月8日に慶尚北道亀尾市山東面鳳山里一帯を特別災難地域に指定した。
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