三代目の性能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/06 00:40 UTC 版)
「TAC (コンピュータ)」の記事における「三代目の性能」の解説
既に動いていたパラメトロン機と比べると、本機の真空管による「電子」計算の高速さは威力を発揮した。FUJICがランダムアクセスに難のある遅延記憶装置を主記憶としていたのに対し、完全ランダムアクセス可能なウィリアムス管の採用は、動作にこぎつけるまでに難航した原因のひとつではあったものの、動作してしまえばその威力を発揮した。なお「IBM機より優れていた」という逸話も本機の解説などで見られるが、そのエピソードは当時の新鋭機(コアメモリを使用)がまだ日本には入っておらず、ドラムを主記憶としていたため遅かったIBM 650との比較であることに留意が必要である。 素子:真空管7000本、ダイオード3000個(日本ではFUJICと本機のみが実働した真空管コンピュータである) 主記憶:ウィリアムス管、容量512ワード。日本で稼動したコンピュータでウィリアムス管を使用したのは、本機のみである。ウィリアムス管の原理上、スキャン周波数を倍にすることにより(マージンが不足するため安定して連続動作させるのは大変だったというが)容量を倍増するという「離れ業」もあった。 入力:紙テープ読取装置 出力:電動タイプライター 動作周波数:330kHz。加算時間は0.48ms、乗算時間は5.04ms 以上の性能の他、機能面で重要なものとしては、以下の二点が挙げられる。いずれもあると使い易さが格段に違うため、是非入れたいということになった。 浮動小数点演算 78ビット処理。桁が欠けないことと、二倍精度の演算処理が作りやすいことが長所で、当時は世界的に見ても大胆な機能。発案は(村田の記憶によると)雨宮らしい。真空管の本数が多いのはこのためであるが、真空管処理は大変だったという。 インデックスレジスタ これは当時最新機種だったEDSAC IIの資料を中澤が入手、夏休みに安達太良山の温泉に泊まって必死に勉強した産物である。開発陣にとって自慢のタネだった。(ただしEDSAC IIとは独立に、日本のリレー式コンピュータ開発陣でもインデックスレジスタは発明されており、そちらからの影響も十分にありうる)
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