万葉集から中世文学までとは? わかりやすく解説

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万葉集から中世文学まで

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 14:50 UTC 版)

武蔵野」の記事における「万葉集から中世文学まで」の解説

の手が入る以前武蔵野照葉樹林であったが、やがて焼畑農業始まり、その跡地草原落葉広葉樹二次林となり、“牧(まき)”と呼ばれる牧草地転用されるなどして、平安期頃までには原野景観形成されたといわれている。 武蔵野の名の成り立ち言うまでもなく武蔵の野」ということだが、元来武蔵国周辺いわゆる東人たちが、みずからの住む山野指して呼んだものであった。「武蔵野」の名が初め史料現れるのは万葉集で、第14巻東歌」に彼らの詠んだ歌が編まれ残っている。 武蔵野のをぐきがきぎし立ち別れ去にし宵より背ろに逢はなふよ (万葉集 東歌 相聞 #3375) 恋しけば袖も振らむを武蔵野うけらが花の色に出なゆめ (同上 #3376) 武蔵野草葉もろ向きかもかくも君がまにまに我は寄りにしを(同上 #3377) (ほか数首あり) 中世になると多数の歌が武蔵野題材として詠まれなかには後世までたびたび引用されるものもあった。 むらさきのひともとゆゑに武蔵野みながらあはれとぞ見る (詠人知らず古今和歌集をみなへしにほへる秋の武蔵野は常よりも猶むつましきかな (紀貫之後撰和歌集行く末は空もひとつ武蔵野草の原より出づ月かげ九条良経新古今和歌集武蔵野やゆけども秋のはてぞなきいかなる風か末に吹くらむ (久我通光新古今和歌集) 玉にぬく露はこぼれむさし野草の葉むすぶ秋の初風西行新勅撰和歌集むさしの月の入るべき峰もなし尾花が末にかかる白雲藤原通方、続古今和歌集) めぐりあはむ空行く月のゆく末もまだはるかな武蔵野の原 (藤原定家新千載和歌集長月にさえゆくむさし野のゆかりに遠きくさのもとかな (藤原定家むさしの木蔭見えず時鳥幾日草の原鳴くらん (一色直朝桂林集むさし野といづくをさして分け入らん行くも帰るはてしなければ (北条氏康武蔵野紀行) なお、11世紀書かれた『更級日記』(菅原孝標女)と14世紀初めの『とはずがたり』(後深草院二条)は、いずれも自叙伝というジャンルノンフィクションだが、各作中では「馬上の人物が見えないほど」に生い茂った土地として武蔵野描かれており、当時武蔵野実態一端うかがい知ることができる。 今は武蔵の国になりぬ。(中略むらさき生ふ聞く野も、(あし)・のみ高く生ひて、馬に乗りて弓もたる末見えぬまで高く生ひ茂りて、中をわけ行くに、竹芝といふ寺あり。 (更級日記八月初め方にもなりぬれば、武蔵野の秋の景色ゆかしさにこそ今までこれらにも侍りつれと思ひて、武蔵の国帰りて、浅草と申す堂あり。(中略) 野の中をはるばる分けゆくに、女郎花よりほかはまたまじるものもなく、これが高さは馬に乗りたる男の見えぬほどなれば、おしはかるべし。三日にや分けゆけども尽きもせず。ちと傍へ行く道にこそ宿などもあれ、はるばるひととほりは来し方行く末野原なり。観音堂はちとひき上りて、それも木などはなき原の中にはしますに、まめやかに草の原より出づ月影思ひ出づれば、今宵十五夜なりけり。 (とはずがたり) 以上のように、中古から中世にかけての日本人がもっていた“武蔵野イメージ”は、総じて野草野原」、のちには「月の美しい、茫漠としてどこまでもつづく原野」といったものであったと言うことができる。

※この「万葉集から中世文学まで」の解説は、「武蔵野」の解説の一部です。
「万葉集から中世文学まで」を含む「武蔵野」の記事については、「武蔵野」の概要を参照ください。

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