一極体制以降の国際情勢
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 07:43 UTC 版)
アメリカ合衆国は、(1)自由放任の資本主義、(2)名目上は民主主義・共和制だが、実態は同じ軍事大国路線[要出典]の二大政党制:を特徴とする国家である。ソ連が死滅すると、世界におけるアメリカの影響力が増大した。ただし冷戦末期にはすでにソ連の経済力は西側と大きく差は開いており、またソ連の脅威がなくなったことにより、西側ではアメリカへの依存は減少し、EU主義的な流れも強まった。 社会主義国が軒並み没落したことで資本主義の勝利が叫ばれ、「新自由主義」とも呼ばれる資本主義が世界を席巻するようになった。社会主義国で生き残った国もあるにはあるが、その経済体制は旧来のソ連型社会主義から大きく変容している。アメリカと政治的に距離を置いている中国、ベトナムでも事実上国家資本主義化し、北朝鮮は経済が破綻し事実上の軍事政権に移行、キューバは経済危機と立て直しを繰り返している。 1990年代に各国で新自由主義が敷かれた結果、それまでも存在した格差はさらに拡大し、端的な例としては南米ではストリートチルドレンが激増するなどした。こうして生み出された一国内及び国家間の極端な格差は、反動としてベネズエラなどのいくつかの南米諸国を反米と社会主義に傾けた。 それまで親米的であることによって経済的繁栄を享受してきた国々は、冷戦構造下のイデオロギー対立が消滅することによって、かえって経済的危機に陥ることとなった。例として、日本では「失われた10年」(現在では「失われた20年」)と呼ばれる停滞期に突入し、韓国やインドネシアなどでは「アジア通貨危機」とそれに伴う失業率の激増に陥った。日本と韓国では中国との経済関係が深まり中国が最大の貿易相手国となる一方、政治的にはさらなる親米路線へと舵を切り、内政においても新自由主義的政策へのシフトを強めた。 また、中華人民共和国は、改革開放により事実上の資本主義体制となっており、アメリカとは友好関係ではないが、「世界の工場」としてアメリカを始めとする多くの国々の生活用品を生産・輸出している。しかし、改革開放の結果、都市部と農村部の莫大な経済格差、貧困層の暴動など、不安要素を多数抱えるようになった。 ロシアもボリス・エリツィン初代大統領により国際協調を軸とした外交へ舵を切り、急進的な市場経済への改革が進められた結果、アメリカとの関係は良好なものとなったが、国内ではハイパーインフレーション、深刻な物不足を引き起こし、多くの国民を貧困に追いやり、通貨危機を招くなど、政権への不満を高める結果となった。ウラジーミル・プーチン大統領就任以降は、親欧米路線を見直し、いわゆる国家資本主義体制の確立と、ロシアの国益を第一とする外交方針へと転換した。
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