一生懸命
別表記:一所懸命
一生懸命(いっしょうけんめい)とは、自らの意思で物事にひたむきに取り組むことを意味する言葉である。「一所懸命(いっしょけんめい)」ともいう。副詞的にも用いる。
用例:「一生懸命に勉強する」「一生懸命働く」「一生懸命さが伝わる」
「一生懸命」は、「一所懸命」が変化した語である。「一所懸命」は、中世、武士が領主から賜った土地を生活のために命がけで守ろうとすることをいった言葉である。近世になり、単に命がけで物事にあたる意に転じた。それに伴い、「一所」が類音の「一生」と混用され、「一生懸命」に変化した。現在では「一生懸命」も「一所懸命」もともに用いられるが、「一生懸命」が口頭でも使用されるごく日常的な言葉であるのに対し、「一所懸命」はやや硬い文章語である。
「一生懸命」と似た意味の言葉に「必死」「一心」「一途」「真面目」がある。
「必死」は、「一生懸命」に比べ、より切迫した感じを与える。また「必死」は、「必死に抵抗する」「必死に耐える」など、よくない状況から脱しようとする場合に用いることが多い一方、「一生懸命」は前向きな文脈で用いることが多い。
「一心」は、一つのことを集中して行うことを意味し、本人の意図にかかわらず邪念がないということを含意する一方、「一生懸命」は自らの意思によってその状態を保つことを意味する(「先生の話に一心に聞き入る/先生の話を一生懸命聞く」「一心に泣く/一生懸命に泣く」)。「一途」は「一心」とほぼ同義であるが、「一途」はより長期間にわたってある気持ちを抱き続けるという場合に用いることが多い(「一途に愛する」)。
「真面目」は、誠実さをもって物事に取り組もうとすることを意味し、他者からの評価も伴って感じられるが、「一生懸命」は本人の主観的な気分である(「真面目に勉強しなさい/一生懸命勉強しなさい」)。
「一生懸命」と対義関係にある言葉には「投げやり」「いい加減」「遊び半分」などがある。
(執筆:稲川智樹)
いっしょ‐けんめい【一所懸命】
一所懸命の土地
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一所懸命の土地 (いっしょけんめいのとち)は、中世日本において各々の在地領主が本貫とした土地であり、命をかけて最後まで守り抜く覚悟を持った土地をいう。その土地の地名を名字として名乗ることが多い。「一生懸命」という言葉はこの語が変化したものである[1]。
概要
古代末期ごろ、在地の富豪層の中から自分で土地を開墾し、その土地に何らかの権利を有する開発領主と呼ばれる階層が出現した。開発領主のうち、国司などとして下向してきた軍事貴族と関係を結び、武装して初期の武士となる者も現れた。こうした武士は特に関東に多く、先祖から受け継いだ土地を自身の命より大切に考え、子孫に伝えようとする傾向が強く見られた。
やがて中世後期になると、武士たちは戦国大名など領主層の家臣団として組み込まれていき、領地替え・国替えが行われることも、珍しくなくなった。しかし、先祖代々継承してきた土地に強い執着があった武士の一部は、主君の領地替えに随従せずに武士身分を捨て浪人となり、その土地に農民として土着して残る者も出た。
特に有力な土着の浪人たちに対しては、近世領主たちは、苗字や帯刀を許可するなど武士に近い一定の特権を認めて、庄屋・名主などの村方三役に任じることが多かった。こうして、一所懸命の土地に対する権利を継承していったのである。
脚注
関連項目
一所懸命
「一所懸命」の例文・使い方・用例・文例
- 私は子どもが一所懸命に頑張る姿が好き。
- 彼は一所懸命勉強した、そうでなかったら、試験に落ちていただろう。
- 君は一所懸命勉強しさえすればよい、そうすれば試験に合格するでしょう。
- 一所懸命働いて彼は成功した。
- 一所懸命になって彼はその木に登った。
- もし彼がもっと一所懸命に働いていたならば、彼は今では金持ちかもしれないのだが。
- あなたは一所懸命勉強しさえすればよい、そうすれば試験に合格するだろう。
- 一所懸命にやったらできないことはあるまい
- 一所懸命働く
- 一所懸命である程度
- 時間をかけて一所懸命に考える
- 一所懸命であること
- 一緒に練習しているので,千春がどれだけ一所懸命練習しているか,また経験してきた苦労がわかります。
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