一審決定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 02:30 UTC 版)
7か月に及ぶ10回の審理を重ね、再審判は12月21日に終了した。支援者の側は、再審判はAに有利に展開し、保護処分はほぼ間違いなく取消されると考えていた。若穂井も、家裁は少年法の制約の中で許す限りの慎重審理を進めてくれた、と感じていた。また、審判に立会ってきた裁判所書記官も、処分取消決定を予想してAの退院手続書類を用意していた。 しかし、翌1983年1月20日に小原が言い渡したのは、かつての少年院送致決定を取消さないとする決定であった。 一審決定はAの無実主張について、布団にナイフを隠したことを捜査中も審判中も隠していた点が不可解である、とした。その一方、Aの当初の自白については次のように評価している。まず、6月22日に県警が作成した記録「死体解剖鑑定立会い結果について」では、胸の刺創について「刃が上、峰が下」と鑑定されている。しかしこの鑑定は8月24日の木村鑑定によって「峰が上、刃が下」として否定されている。にもかかわらずAは、供述を訂正させようとする検察官の誘導に反してさえ、木村鑑定が提出される以前から概ね一貫してナイフの持ち方を「峰が上、刃が下」と供述している(これに対し小笠原は、そもそもナイフの刃の向きは2通りしか存在しないため秘密の暴露には当たらない、と反論している)。また、Aは衣類・包帯の血痕鑑定の結果が出る以前から、それらには血液が付着しなかったと述べている。 このような点から、一審決定は自白の任意性は勿論のこと、その信用性についても肯定した。そして、結局Aが凶器と同型のナイフを持って犯行時刻頃に犯行現場付近にいたことはA自身も認めているのであり、動機の薄弱さや物証の乏しさなどAに有利な事情を考慮しても、非行事実の存在について合理的な疑いは生じない、とした。 この決定に際して同日、若穂井らは記者会見に臨んで「みどりちゃん事件・A少年を守る会」を立ち上げた。その会長には柏市議の芳野よしいが、事務局長には藤枝が就任し、支援者らは大々的に冤罪を訴える活動を開始した。
※この「一審決定」の解説は、「柏の少女殺し事件」の解説の一部です。
「一審決定」を含む「柏の少女殺し事件」の記事については、「柏の少女殺し事件」の概要を参照ください。
- 一審決定のページへのリンク