ワールドカップ2018での批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 23:29 UTC 版)
「ビデオ・アシスタント・レフェリー」の記事における「ワールドカップ2018での批判」の解説
2017年FIFAコンフェデレーションカップに於いてのVARの使用は批判もあり、「明らかになることによる混乱」と批難された。(VARにより、誤審や流された状況などが従来では不可能なほど明らかになるため、VARのアドバイスによりそれが明らかになり判定を覆すという混乱・事態が起きる。) 更にサポーターの旗がVARカメラを妨害してしまったり、VARシステムのソフトが故障して機能しなかったということもあった。FIFAは2018年のワールドカップでのVAR導入を成功だったとしたが、それにもかかわらずVARは批判された。ほとんどの判定が正しくともいくつかに問題があり、また問題ある判定を見逃したからだ。ガーディアン紙はVARはオフサイドや選手誤認のような客観的な事には効果的だが、PKや非紳士的行為のような主観的な要素があるものでは効果的でなく、明快さの欠けるものや一貫性が必要なものに関しては弱点があると結論づけた。一貫性の問題ではワールドカップに於いて似たような状況でも違う判定になったりと不透明さを明らかにした。グループステージのポルトガルvsイラン戦ではハンドでポルトガルにPKが与えられたのに、ナイジェリアvsアルゼンチンでのロホのハンドがナイジェリアのPKにならなかったりである。一方で「似たような状況」でもあらゆる状況はそれぞれルール上のテクニカルな面で異なっており、こうした批判は安易という反論もある。 他の批判点としてはVARの現実的な有効性であり、ナショナル・ポストScott Stinsonの意見は、VARは他のビデオシステムのように人間のミスを訂正できず審判の判断が必要なため、代わりに論争を生むだけだとしている。透明性の欠如は論点であり,VARによって何が検討されているかがチームには知るすべがない事である。実際にはVARシステムを利用している最中や判定の後に主審が選手に説明することもあるが、選手がVARシステムの最中に何を検討しているかを聞く権利は規定されておらず、審判にも説明する義務はない。ルール上はチームには知るすべがなく、判定を待つのみである。また音声のみでVARとの交信をしている最中に抗議することは妨害にもなる。 グループステージ後の記者会見でFIFA審判委員会委員長のピエールルイジ・コッリーナはVARと主審との会話音声による決定プロセスを公開した。 「ラグビーやクリケットのように一般に向け公開できるか?」と聞かれた委員長は「まだ早いかもしれない」と回答した。 他の批判はVARはゲームを長くしてしまうのではないかという恐れだったが、VARの平均所要時間が80秒ということでこれには当たらなかった。 インデペンデント紙のJonathan Liewは、この状況をクリケットでのデシジョンレビューシステムの導入と同じく起きた変化であると綴った。 大会後にFIFA副事務総長であるズボニミール・ボバンは大会を振り返り、「フットボールとそのルールが幅広く議論になったのは素晴らしいことだが、競技規則とVARについての完全な理解があって初めてその議論に信頼性が生まれる」とコメントしている。実際にすでにブンデスリーガでVAR制度を1シーズン導入していたドイツでは多くのメディアがワールドカップ2018でのVARシステムの円滑な運用を高く評価し、「ドイツも見習うべき」との論調だった。
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