ワンオペ
英語にも「one operation(ワンオペレーション)」という表現はあるが、英語では「単一の工程」を指す意味になる。日本語における「ワンオペ」の意味は特にない。
「ワンオペ」とは・「ワンオペ」の意味
日本語における「ワンオペ」または「ワンオペレーション」は、何らかの作業を行う人が一人しかいない状態のこと、および、そのような状況下で一人で切り盛りすること、を意味する言葉である。「ワンオペ」は、典型的には、ファストフード店などでスタッフ(従業員)が一人しかおらず、その従業員が店内における全ての業務を行うことになる、といった状況を指す。実際そのような意味の言葉として世間に広まった。
「ワンオペ」は、24時間営業の飲食チェーン店の深夜営業の時間帯などに行われる場合がある。従業員はアルバイトであることもある。深夜に入店する客は通常はまばらであるため、普段はワンオペで運用できるとしても、たまに客が一挙に押し寄せる機会があったりするとたちまちにしてオペレーションがパンクする。また、従業員が一人のみという状況は、強盗や食い逃げの被害に遭ういやすい等、防犯上のリスクも高い。
「ワンオペ」という言葉は2010年代半ばにはマスメディア等がしばしば用いる言葉になっていた。2020年代には、ワンオペ勤務中の従業員の手が回らずに店内が食後の食器で溢れかえっている光景がSNSで拡散されたり、ワンオペ勤務中の従業員が店内が倒れ、そのまま死亡した(発見されるまで3時間も要した)りといった話題も注目を集めた。
今や「ワンオペ」はほぼ「ブラックな働き方」として認知されている。
「ワンオペ」の熟語・言い回し
ワンオペ育児
動労形態としての「ワンオペ」から派生する形で「ワンオペ育児」のような表現も生まれた。ワンオペ育児とは、母親か父親が、配偶者の助力を得られずに、育児のほぼ全てを一人で切り盛りするような状況を指す表現である。やはり「ブラックな労働」というニュアンスが含まれる。「ワンオペ育児」が発生する理由は世帯によって様々であるが、一般的には「パートナーの仕事などが激務といった理由でこどもと接する時間を持てない」、「パートナーは家にいるのに、育児に非協力的である」、「シングル家庭である」といった理由が考えられる。
一方、「ワンオペ育児」を主張する人を「うざい」と評価する声もある。「あまりに頻繁に愚痴を言われて鬱陶しいから」というものから、「自分自身もワンオペ育児をしているが、愚痴をこぼさないように気を付けているから」、あるいは「自分自身がワンオペ育児の親の元で育ったから、それが当たり前であると感じているから」と、理由は様々である。
このような意見の不一致となる理由の一つは、「ワンオペ育児」がどこからどこまでを範囲としているのか、明確に定義がないためだと考えられる。同じ「ワンオペ育児」であっても、共働き家庭、やむを得ず離婚をした家庭、そして専業主婦の家庭によって、抱えている悩みなどが大きく異なる。チェックリストなどを用いて、自分や家族がどのような状況に陥り、どのような問題を抱えているかを客観的に分析することも大切であるとされる。
ワンオペ夫婦
「ワンオペ夫婦」とは、夫婦のうちの片方だけが育児を担当している状態を意味する言葉である。「ワンオペ育児」という言葉から派生した表現であると考えられ、「パートナーが子育てに消極的である・こどもより自分を優先している」ような夫婦のことを意味する。このような表現をすることで、「ワンオペ育児」になる理由が「シングル家庭」であるケースなどと区別できるようになる。結局ワンオペ
「結局ワンオペ」とは、「ワンオペ」あるいは「ワンオペ育児」の問題に直面した人が、「ワンオペ」状態を解消しようとしたものの、失敗に終わった場合などに用いられる表現である。ワンオペ
ワンオペとは、「1人で全ての作業を切り盛りする」という意味で用いられる言葉である。特に、深夜のファストフード点などにおいて、1店舗の業務すべてを従業員1人で担当すること。人手が逼迫し、業務の運用(オペレーション)にも従業員の心身にも支障が生じるような現場を指すニュアンスが色濃い。
ワンオペという表現は、当初は飲食店の過酷な労働環境を避難する文脈で用いられることが多かったが、ほどなくして育児・子育ての分野で「ワンオペ育児」という表現で用いられるようになった。「ワンオペ育児」は家族(配偶者)の協力も助力も全く得られずに1人で育児も家事もこなさなくてはならない状況を指す語として用いられる。基本的には育児にまったく関与しない夫を非難する言葉といえる。
ワン‐オペ
「ワンオペレーション」の略。
ワンオペ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/18 05:54 UTC 版)
ワンオペとは、
- 単一の操作・工程の意(one operation)。
- 1つの店舗・事務所などで1人の従業員・担当者にすべての業務を行わせている状態のこと。ワンマン・オペレーションの略。本記事ではこれについて記述する。下記の牛丼チェーンの深夜の労働体系が2014年に社会問題となった。
発端と派生語
すき家における深夜勤務のワンオペ問題
2014年に牛丼店「すき家」の全国の店舗の大半で、深夜帯はワンオペの労働体系(従業員が1人体制)としていたことが問題視されるようになった[1]。この牛丼チェーンの労働体系を指した「ワンオペ」という言葉が同年に話題となった[2]。一例として、ある大学生はメディアのインタビューに対し、休憩をとらないまま1人勤務(ワンオペ勤務)に9時間就いた経験があることを告白した[3]。また従業員に対するアンケートによれば、「回転(24時間以上の連続勤務を週数日間連続でこなしてしまう)により、居眠り運転による事故を起こした」「年末に親に会い、20㎏もやせてみていられない。やめてくれと頼まれた」などといった意見が寄せられ、中には月あたり500時間以上勤務したという事例や、2週間以上も自宅に帰ることができなかったという人もいたとされる[4]。
これらの問題に対し、同社が組織した外部有識者らで構成する第三者委員会から「法令違反」とする指摘があったことから、ワンオペを取り入れていた多くの店では2014年10月以後、深夜0時から5時の営業を停止する[1]か、2人以上の従業員を配置しローテーションを図る[5]ことにより、ワンオペを「できるだけなくす」としている。また、2022年にはワンオペ勤務中に倒れてそのまま死亡した従業員のケースも発覚した[6]。
全国の最低賃金は2023年度に初の1000円の大台を超え、深夜賃金はその日中時給へ25%上乗せすることが法律で決まった。すき家は2024年4月3日から牛丼チェーン初の試みとなる深夜料金の導入し、午後10時から午前5時の間の商品料金を7%上乗せすることとした[7]。
フルタイム女性におけるワンオペ育児・外部委託サービス
上記のチェーン店での労働体系「ワンオペ」が社会問題となった、その翌2015年ころからTwitterで「親族による育児支援の無い核家族夫婦+子供という家族構成の共働き家庭」で、夫婦のうちどちらか1人のみが育児などを行っている状態を指す言葉として、「ワンオペ育児」が生まれた。共働き世帯がレアだった時は「女性が育児・男性が稼ぎ」という役割分担は普通のことで、専業主婦又は親族の育児支援で社会はうまく回っていた。しかし、一家の家計を男性単独で担える程の賃金が困難となった後は「男性側の収入が高い家庭」を除き、共働きじゃないと家計がやっていけない家庭が増えたことで、共働き家庭が増えている。育児女性は「仕事と両立」という社会的な風潮・核家族化で「親族からの育児支援が受けられないケース」が広がっている中で、「フルタイム共働き育児女性」へ「稼ぐこと」と育児という両方負担状態が問題視されるようになった[2]。
「フルタイム男性とフルタイム女性の育児夫婦」という共働き世帯は増加したことで、家事や育児の外部委託サービス提供企業が出来た。しかし、家事代行や育児代行(ベビーシッター)など金銭を用いた委託文化がフルタイム女性のいる共働き家庭へ日本ではまだまだ浸透していない[8]。しかし、ワーキングマザーの「手取り÷職務労働に費やした時間」から「実質的な自己の時給」を計算すると、時間あたりの利用料金よりも稼ぎが多い女性の場合は家事や育児の外部委託サービスを使用しないことは金銭的に損だと指摘されている[9]。
出典
- ^ a b すき家が深夜営業中止 全体の6割、1167店で(サンケイスポーツ、2014年9月30日付、2015年2月11日閲覧)
- ^ a b “流行語になった背景は?「ワンオペ育児」藤田結子教授に聞く実態”. kufura(クフラ)小学館公式. 2024年3月2日閲覧。
- ^ すき家バイト「ワンオペ体験」告白 「調理方法が分からずヤフー知恵袋で調べた」(弁護士ドットコム、2014年10月15日付、2015年2月11日閲覧)
- ^ 「20キロ痩せた」「24時間連続勤務」…すき家元社員が明かした勤務実態(サンケイスポーツ、2014年8月2日付、2015年2月11日閲覧)
- ^ すき家、深夜営業を再開へ…人手確保にめど(サンケイスポーツ2015年1月23日 2月11日閲覧)
- ^ “すき家「ワンオペ」中に女性店員死亡 再発防止へ早朝時間帯も複数勤務体制に移行”. 日刊スポーツ (2022年6月2日). 2022年6月2日閲覧。
- ^ “すき家が「深夜料金」開始 午後10時から5時まで7%加算 客の反応は? 続く値上げラッシュ…「オリーブオイル」は5月からさらに高騰 パスタ値上げ決断の店も【news23】 | TBS NEWS DIG (1ページ)”. TBS NEWS DIG (2024年4月4日). 2024年12月18日閲覧。
- ^ “年収840万円夫婦が家事代行を使うのは悪か”. 東洋経済オンライン (2018年5月13日). 2024年3月2日閲覧。
- ^ “共働きFPが実際に使っている家事代行サービスって? 利用しないと「損」な理由を徹底解説 - with class -講談社公式- 家族の時間をもっと楽しく”. with class (2022年1月12日). 2024年3月2日閲覧。
関連項目
- ワンオペのページへのリンク